
前半のストーリー
「参加者に紛れている悪魔を殺すまで、このゲームは終わらない」(中略)推理と死の輪廻が紡ぐ衝撃必至の人狼系デスゲームファンタジー、ここに開幕!※電子版には特典として、沙寺絃先生書き下ろしSSが収録されています。
U-NEXT
婚約者より侍女に恋する伯爵令嬢は、
8名でするデスゲームに見舞われる。
愛する侍女と共に城から生還するため、
悪の推理、謀略、凶行に傾心する。

◆登場人物
レオンハルト……蜂蜜系の美男子で公爵家の嫡子。21歳
ヘルミーナ……侍女に恋するレオンハルトの婚約者。18歳
ハイディ……赤髪ツインテールの可憐なメイド
シャルロッテ……ヘルミーナに長年仕える健気な侍女
クリストフ……レオンハルトに仕える長身の執事。18歳
ヤスミン……城のメイド長
ウルリッヒ……庭師の青年
『デスループ令嬢は生き残る為に両手を血に染めるようです』
沙寺絃(著)
千種みのり(イラスト)
講談社
2023年9月1日発売
購入金額の最大40%が、
32日後にポイントで還元されます!
※U-NEXTポイントの消費分は対象外
詳しくは——
感情トリガーとあらすじ、場面
※:本ページの情報は2023年9月時点のものです。
最新の配信状況はU–NEXTサイトにてご確認ください。
【感情のトリガー↓】0~236P(スマホ)
①邪神召喚【呆・悲】
②二度の死【呆・驚】
③悪魔の勝【呆・推・察・驚】
【トリガーの内訳】
①邪神召喚(城内で処刑サバイバルが始まる)
├血の魔法陣【呆】(ッ⁉︎——)
└秘儀の進行【悲】(ナンテコッタ!)
②二度の死(1周目で処刑された怨みを晴らす)
├黒箱の出現【呆】(ッ⁉︎——)
└悪魔が判明【驚】(エッ⁉︎ イガイ)
③悪魔の勝(悪魔側がデスゲームに勝利する)
├今回の役職【呆】(ッ⁉︎——)
├女給の直感【推】(マテヨ…)
├秘密プラン【察】(マサカ…)
└シャルの愛【驚】(エッ⁉︎ イガイ)
【刺激された感情の種類:5種】
驚度:★★★★★
驚=予想外の出来事(2)
呆=突然で呆気にとられる(3)
思考:★★
推=謎を解く仮説を考察する(1)
察=ヒントから展開の予測がつく(1)
不幸:★
悲=悪くなった状況を認知する(1)
①邪神召喚【呆・悲】

あらすじ——
グランツ王国と呼ばれる最北の地にある——
古城シュヴァルツェンベルクで、
本日の処刑対象が投票で決められる。
悪魔の疑いをかけられたヘルミーナ令嬢は、
邪神召喚の十戒に則り、処刑される。
※
300年以上の歴史ある要塞——
シュヴァルツェンベルク城のお祓い会に、
兄の代理でヘルミーナ令嬢が立ち会いに行く。
令嬢は侍女のシャルロッテと向かった古城で、
メイド、庭師、婚約者、執事、祓魔師と会う。
翌朝、外の飼育小屋で異変を起き、
城内のメンバーは全員、食堂にあつまる。
食卓の羊皮紙に秘儀のルールが書かれており、
逃れられないデスゲームが開始される。
❶血の魔法陣【呆】

三百年以上前に建てられた曰くつきの城——
シュヴァルツェンベルクに、
兄の代理で訪れた妙齢のヘルミーナ令嬢。
古城を富裕層むけの旅館として利用すべく、
祓魔師に邪気を祓ってもらう予定だった。
城にメイド、庭師、婚約者、執事、侍女と、
祓魔師も含む計8名の男女が一泊した翌朝、
ヘルミーナ令嬢は、言い争いの声を確認する。
飼育小屋の前で、メイド長と若いメイドが、
なにやら揉めているようだった。
ヘルミーナは、侍女と一緒に城の外に出て、
二人のいる飼育小屋に向かった——
のだが、
その異様な光景に思わず絶句してしまう場面。
庭にある飼育小屋。

ヤスミンが視線を向けた先。その先を見て、私は言葉を失った。
《前掲書、 P.62》※スマホで閲覧
飼育小屋の中にいた鶏がすべて首を落とされ、周辺が血で満たされている。
しかも問題はそれだけじゃない。
飼育小屋の地面や壁には、血で不気味な魔法陣のような紋章が描かれていた。
まるで獣、それも狼を象ったような禍々しい紋章……。
——ッ!?——
怪事件発生!
一番怪しいのは庭師のウルリッヒだけど、
まだ、今の段階で犯人は判らないね。
除外できそうなリストを挙げてみよう。
ヘルミーナ令嬢——
物語は、彼女の視点で書かれているから。
伯爵家の嫡子、レオンハルト——
高慢気質の男が臭い小屋に行くとは思えない。
メイド長のヤスミン——
序章で、令嬢の絞首刑に目を背けていたから。
それ以外の人物は、みんな怪しい。
特にハイディは、もともと牧場娘だから、
鶏の扱いだって慣れてるんじゃないかな。
❷秘儀の進行【悲】

飼育小屋に描かれいていた紋章は、
邪神召喚の儀式に使用されるものであった。
後から駆けつけてきた祓魔師のクラインに、
みんなを食堂に集めるよう言われ、
ヘルミーナはそれに応じた。
が、紋章は食堂の壁にも描かれてあった。
集まったメンバーも呆然だ。
洋卓の上には、
縦横30センチ程の羊皮紙が置かれている。
そこに、びっしりと文字が書かれていた。
『邪神召喚の儀式』についての十戒。
城内の8名は、ゲームをしなくてはいけない。
悪魔役を探すデスゲーム。
毎晩、悪魔が一人襲い、その者は死ぬ。
参加者は昼間に投票を行い、一人を処刑する。
悪魔か人間か、全滅させなければ、
城壁の外に出ることは許されない。
これは、誰かの悪質なイタズラなのか?
ヘルミーナの婚約者であるレオンハルトが、
それを確認しようと早朝の城門へ向かう場面。
城門の前。

私たちは一度、正面の城門から外へ出られないか試してみることに決めた。
全員で正門の前まで行く。私が鍵を差し出すと、レオンはその鍵をひったくるように奪い取った。しかし鍵を鍵穴に差し込んだ直後、すぐに狼狽える。
「おい、なんだこれは!? 鍵を差しているのに回らないぞ! ヘルミーナ、この鍵で間違いはないのだろうな!?」
《前掲書、 P.73》
——なんてこった!
え? 世にも奇妙な物語やん。
デスマッチゲーム。
人間側にいる崇拝者のメリットって、ある?
結局人間側だから、最後ヤラれるよね?
その晩、誰もヤレなかった悪魔は、
二人とも死んでしまうのかな?
武器使って悪魔と戦うのもなし?
悪魔は無敵最強なの?
序章でヘルミーナが処刑されてたけど、
もうすでに、ループしている状態なのかな?
こりゃあ、続きが気になる。
魅せ方が上手いねえ。
■秘儀の役職(人間陣営に1人だけ)

人間陣営が勝つ条件
2人の悪魔を処刑できたら勝利。
生存者は、みんな城壁の外に出られる。
悪魔陣営が勝つ条件
悪魔側が生存者の半分以上なら勝利。
残りの人間を斃すと城壁の外に出られる。
各1人や4人とは書かれてなかったんで、
1人に複数の役職がついてる可能性もある。
こんな複雑なルールを考案できるなんて凄すぎ!
絶対、勝てる必勝法なんてあるのかな?
僕には、まったく分からへん。
■相関図

②二度の死【呆・驚】

あらすじ——
処刑投票を見送った翌朝、
惨殺された祓魔師のクラインが見つかる。
城内の一同は死刑投票を行う決意をし、
婚約者の裏切りによって令嬢が処刑される。
来城して二日目の朝に輪廻したヘルミーナは、
悪魔の婚約者を処刑に誘導させる。
もう1人の悪魔も把握しているヘルミーナは、
翌日に控えて、その晩、自室で眠りにつく。
が、深夜、予想外の悪魔に襲われてしまう。
❶黒箱の出現【呆】

理不尽なゲームに見舞われた一同は、
秘儀を中断する条件にあった黒杯を探した。
が、城内をくまなく調べたみたものの、
黒杯らしき物はどこにもなかった。
探索を諦めた一同は、各部屋にもどり、
一夜を過ごす。
朝5時に若い女性の叫声が城内に轟いた。
一同は、声のしたクライン氏の部屋に集まる。
部屋の前でへたり込むメイドのハイディが、
部屋の中を指さした。
祓魔師のクラインが惨殺されている。
喉は裂かれ、腹の臓物まで飛び出していた。
憮然と食堂に集まった一同は、
恐怖のベールにつつまれる。
みな、疑心暗鬼となり、
自分らの中に潜む悪魔に怯えていた。
処刑するかしないかで仲間同士が揉める。
一同がついに投票を決意したとき、
未知な力が目のまえに現れた場面。
ヘルミーナが古城に来て三日目。
7名が集まる昼前の食堂。

「皆様……夜は悪魔の時間でございます。日没までに処刑を済ませ、部屋に戻らなければなりません」
《前掲書、 P.104》
「分かっているさ、ヤスミン。さあ、投票を始めよう」
レオンが仕切るようにそう言った瞬間、テーブルの端でガタンという音が鳴った。
気付くと、テーブルの端に禍々しい獣の装飾がなされた黒い箱が出現していた。さらに隣には、小さな投票用紙も置かれている。
——ッ!?——
参ったな、こりゃ。
ということは、
鶏の件も未知な力によるものなのか?
人の仕業ではなかったってこと?
これを仕組んだ犯人がいると思ってたけど、
どうやら、違うみたいだね。
❷悪魔が判明【驚】

食堂に突つと出現した投票箱と用紙で、
一同による処刑投票が行われた。
最多得票という絶望を被ったヘルミーナは、
みんなの前で絞首刑に晒されて絶命する——
したはずだった。
ヘルミーナは、古城に着いてからの翌朝——
飼育小屋の惨状を目撃する日に戻っていた。
小さな羊皮紙が部屋のベッドに置かれており、
そこには、前回の役職が8人分載っていた。
今のヘルミーナは、全ての役職を把握している。
悪魔は、レオンハルトとメイドのハイディ。
まずは、裏切った婚約者からだ。
ヘルミーナの誘導作戦がうまく事を運び、
レオンハルトが、最多の得票で処刑された。
これで、悪魔は残り1名。
今夜、ハイディが令嬢を襲うとは思えない。
メイド長か庭師あたりを狙うはずだから。
あとは明日の昼、
残りの悪魔を処刑させれば無事に生還できる。
なぜ輪廻できたのかは分からない。
だが、これで勝利は確実。
ヘルミーナは、安心して眠につく——
二日目の深夜。(二周目)
ヘルミーナの寝床。

刃の先が私の喉に突きつけられた。
《前掲書、 P.146》
「……ごめんなさいね。あなたに恨みはないのだけど……」
「っ! どう、して……!?」
そこにいたのは、まごうことなき悪魔だった。
しかもその人影は想定していたハイディではなく、城のメイド長のヤスミン。
彼女の背後には、狼頭の大男──ウルリッヒが佇んでいる。
——えっ!? 意外。
羊皮紙に書かれていた内容とちがう。
まさかのヤスミンとウルリッヒ……。
輪廻すると役割も変わるということか。
そうじゃないと面白くないよね。
だれが悪魔か分かった状態で処刑するより、
後から結果が分かったほうが感情刺激になる。
前回の悪魔が分かっていても、
今回も同じ人物とは限らない。
こりゃ、興が湧いてくるじゃないですか。
③悪魔の勝【呆・推・察・驚】

あらすじ——
二周目の輪廻で失敗したヘルミーナは、
悪魔側として三周目の自室で目覚める。
誰も吊るされなかった初日の夜、
ヘルミーナは、もう1人の悪魔と対面する。
レオンハルトに夜襲をかけた翌日、
ヘルミーナらは、庭師を処刑に誘導する。
その晩、メイドを襲い、
翌日、ヘルミーナらは自分の役職を告白する。
秘儀の違反行為で1人が自滅し、
残りの人間は処刑によって没する。
悪魔と崇拝者だけが残り、ゲームは終了する。
が、城門の外にでることは叶わず、
ヘルミーナは、相方の悪魔と言い争いをする。
自殺してしまった崇拝者の後につづき、
ヘルミーナも自身で命を絶ってしまう。
❶今回の役職【呆】
悪魔二人にヤられてしまったヘルミーナは、
また、二日目の早朝を輪廻していた。
起こしにきたシャルが茶を入れに出て行くと、
ヘルミーナは、例の用紙をみつけた。
前回と今回の役職が書かれているメモ。
そこに書かれてあったものとは——
二日目の早朝。(三周目)
古城シュヴァルツェンベルク——
二階のヘルミーナの自室。
『【前回の役職】
・悪魔 … ヤスミン、ウルリッヒ
・崇拝者 … ハイディ
・聖騎士 … クライン
・予言者 … レオンハルト
・医者 … クリストフ
・人 … ヘルミーナ、シャルロッテ
【今回のヘルミーナの役職】
・悪魔』──その羊皮紙の最後の記述を見た時、私は目を疑った。
《前掲書、 P.152》
——ッ!?——
わお、だから両手を血に染めるのか。
生き残るには、もう1人の悪魔といっしょに、
人間陣営を全滅させなければいけない。
てことは、侍女のシャルが人間側だったら、
襲わなくてはいけないということ。
崇拝者だったとしても……。
酷な話でっせ、こりゃあ。
なんか、救いの道は用意されてないのかな?
ヘルミーナが生き残っても悦べないですぞ。
罪悪感がのこるしね。
みんなを救う方法はないのだろうか?
あ! あるやん、みんなが助かる方法。
『黒杯』だよ!
秘儀を中断する条件にあったやつ。
一周目では見つけられなかったけど、
何度も輪廻できるなら見つけられるかも。
そして、みんなで白紙投票をすれば、
この理不尽なデスゲームもしなくて済む。
なんとなく、物語の終着点が見えてきたぞ。
❷女給の直感【推】
悪魔の役職を割り振られたヘルミーナは、
その晩、食堂でもう1人の悪魔と対面した。
2人の同意で決まった犠牲者はレオン。
翌日、処刑投票が行われるとき、
聖騎士以外の役職に名乗りを挙げてもらう。
医者ならレオンがどちら側か調べられるし、
預言者なら昨日の結果を教えてもらえる。
人間側の立場として令嬢が提案したものだ。
すると、ウルリッヒとシャルが医者だと告げた。
人間陣営にいる特殊な役職は1つのみ。
どちらかが、崇拝者で翻弄しようとしている。
処刑候補は先の2人にしぼられ、
ウルリッヒが最多得票者となって絶命した。
その夕、腹を空かせた悪魔のヘルミーナは、
厨房でメイドのハイディと鉢合わせ、
無邪気な彼女に上手く話を合わせていた。
そんなとき、
ヘルミーナが今夜の襲撃の危惧を匂わせると、
ハイディが、大丈夫だと請け合っていた場面。
三日目の夕前の厨房。(三周目)

「何にしても、次の処刑相手を決められるのは明日よ。まずは今夜の襲撃をやり過ごさないと、どうしようもないわね」
《前掲書、 P.203》
「あ、それなら大丈夫だと思いますよ~。ヘルミーナ様は大丈夫です!」
「……どうしてそう思うの?」
「あぁ、んー、何となく? 女の直感的な? ま、とにかく大丈夫なんで、大船に乗ったつもりでいてくださーい!」
——まてよ……
メイドのハイディは、聖騎士かもしれない。
相手が悪魔とは知らず、
味方っぽいヘルミーナを護るつもりなのかも。
❸秘密プラン【察】
庭師のウルリッヒが処刑されたのは、
ヘルミーナの侍女、シャルの働きが大きかった。
普段とは違うシャルの微妙な言動の変化に、
ヘルミーナは気づいていた。
そこから彼女の役職を察することができたのだ。
ただ、分かったところでシャルは人間側。
彼女も襲撃の対象であることに変わらない。
しかし、ヘルミーナは考えていた。
シャルと2人で脱出する方法を。
三日目の寝静まった夜の食堂。(三周目)
私がシャルの違和感に気付いたように、きっとシャルも私が普段と違うことに気付いている。
《前掲書、 P.204~205》
黒い刃を見つめながら思考を巡らせる。シャルが崇拝者……だったら、どうやって私たち二人は生き残るべきか。
一応プランはある。だけどこのプランはクリストフには言えない。何があろうと、絶対に。
——まさか……
悪魔の勝利条件には、こう書かれていた。
悪魔側が生存者の半分以上になると勝利。
つまり、二通りが考えられる。
①悪魔が2人に対して人間は1人。
②悪魔が1人に対して人間は0人。
ヘルミーナは、当然、①を考えている。
城壁の外に出る条件に、
残りの人間を始末するとあったが、
その人間の属性までは書かれていなかった。
なぜ、「人間陣営」と表記されていないのか?
悪魔側の「人間」でも良いのかもしれない。
シャルを残して悪魔側が勝利したあと、
ヘルミーナは、クリストフをヤるつもりだ。
❹シャルの愛【驚】

悪魔側の障害となる聖騎士、メイドが絶命。
これで悪魔側が有利となったヘルミーナは、
昼の処刑投票で自分が悪魔だと告白した。
勝利を確信したからである。
【悪魔+崇拝者:3名】【人間:2名】
クリストフ、シャルロッテもあとに続き、
残ったメンバーが驚愕する。
メイド長のヤスミンが憎しみから暴挙にでる。
が、秘儀の違反行為により自滅に終わった。
これは処刑とは関係のない死であるため、
祓魔師が本日の執行対象として絶命する。
人間側は崇拝者のシャルロッテのみとなった。
悪魔陣営の勝利である。
が、城門から脱出することは不可能だった。
残った「人間」の死が必要なのだ。
ヘルミーナは、クリストフと対立した。
彼はシャルロッテの始末を考えている。
それに、ヘルミーナの考えも察していた。
そんななか、
ヘルミーナ令嬢を守るために、
シャルロッテが最後の忠義を尽くす場面。
四日目の昼の城門前。(三周目)
その手には、私が厨房から隠し持ってきたのと同じタイプの肉切り包丁がある。
《前掲書、 P.234》
さぁっと顔から血の気が引く。一瞬、思考がフリーズした。
そんな私を見て、シャルは美しく微笑む。
「さようなら、ヘルミーナ様。私はあなたが大好きです。今もこれからも、ずっと……」
シャルはそう言うと、肉切り包丁の刃を己の首に宛がい、一切の躊躇いなく切り裂いた。
——えっ!? 意外。
2人でクリストフを斃すと思ったけど、
まさかの展開に驚き。
ということは、
ヘルミーナも死んで、やり直そうとするのか?
でないと、シャルと生き抜くことができない。
また役職も変わってしまうから大変だ。
感想(前半)
◆ゲームの細かな設定に感服
トランプの遊びとか、知恵の輪の考案とか、
創造者に対して嫉妬を覚えるのですが、
それに近い感覚があります。
【預言者】【医者】【聖騎士】【崇拝者】。
悪魔以外の役職を与えて、
さらに物語を面白くしていくというプロセス。
今のところ、順調にうまくいってますよ!
どんな展開が待っているのか気になりますし、
最後まで読みたくなります。
◆先入観の罠にみごと嵌りました
誰がどんな役職なのか書かれていたメモ。
悪魔も判明してるから、
あとは、2人の悪魔を処刑するだけ——
と思ったら、意外な展開が待っていたのです。
おそらく、まだ罠を張っているはず。
後半は——どうせ無駄だけど——
先入観にやられないよう気をつけます。
◆ファンサービスも少しあり!
ヒロインであるヘルミーナ令嬢の侍女——
シャルロッテが、男好みする体躯であります。
馬車の揺れで崩れたヘルミーナが、
その豊かなところに助けられたり、
湯船に浸かって、シャルの躰を想像したりと、
おもわず、喜んでしまうような場面です。
挿絵でも見せてくれるそのサービス精神——
ごっつぁんです。
後半の感情トリガー
【感情のトリガー↓】237~461P(スマホ)
①黒幕探し【解・肯】
②漆黒の杯【察・訝・呆・驚】
③最終輪廻【安】
【トリガーの内訳】
①黒幕探し(四周目で秘儀を始めた存在を探る)
├秘儀の目的【解】(ナルホド!)
└本物の証明【肯】(タシカニ)
②漆黒の杯(黒幕と一緒に黒杯のところへ赴く)
├黒幕の正体【察】(マサカ…)
├黒幕の輪廻【訝】(ハ?)
├黒杯の守護【呆】(ッ⁉︎——)
└輪廻の回数【驚】(エッ⁉︎ イガイ)
③最終輪廻(邪神召喚の儀式を終わらせる)
└掴んだ平穏【安】(ホッ)
【刺激された感情の種類:7種】
幸福:★
安=不安・恐怖が解消される(1)
驚度:★★
驚=予想外の出来事(1)
呆=突然で呆気にとられる(1)
思考:★★★★
解=不可解が解明される(1)
訝=疑問を抱かせる言動や描写(1)
肯=諭す言葉に納得してしまう(1)
察=ヒントから展開の予測がつく(1)
全体を通してのプロット
A【人物・世界観の説明】
①舞台は古城シュヴァルツェンベルク
②古城のお祓い会に関係者8人が集まる
③主人公ヘルミーナ令嬢の履歴
a【物語が始まる起点・問題】
☆邪神召喚の儀式が始められる
B【発生した問題への対処】
①秘儀のルール内容を知る
②儀式の中断を試みる
b【問題の広がり・深刻化・窮地】
①翌日に悪魔の犠牲者がでる
②処刑投票が行われる
③ヘルミーナが輪廻を繰り返す
④ヘルミーナが悪魔役になる
⑤ヘルミーナの想い人が死んでしまう
C【人物の葛藤・苦しみ】
①ヘルミーナが自分の愚かさに気づく
②ヘルミーナが儀式の黒幕を探していく
③ヘルミーナが何度も死を繰り返す
④ヘルミーナの想い人が邪神に消される
c【問題解決に向かう最後の決意】
★最後の輪廻でみんなを救おうと決意する
D【問題解決への行動】
◯ヘルミーナがみんなを説得して、
邪神召喚の儀式を中断させる
読了した感想
◆やっぱ後半も先入観にやられました
輪廻に関するところであります。
具体的には言えませんが、
まさかの想定外でありました。
沙寺絃先生の術中が巧妙なのです。
あの違和感は、そのためだったのかと納得。
黒幕がとっていた非合理的な行動ですね。
だから黒幕候補から外していたのに、
まんまと罠に嵌るという……。
素晴らしいですわ。
◆デスゲームなのにハッピーエンド!
この意外性も素晴らしいですよね。
8名で命の排除をし合う恐ろしいゲームなのに、
誰も死なさせない方法を模索して、
見事、解決に向かっていくというプロセス。
そのなかには、啓発的な要素も孕んでおり、
今の社会をもっと生きやすくしたいという、
著者の願いみたいなものも感じられました。
相手の本心に傾聴し、理解と尊重をもって、
それを行動で示していく。
様々な偏見差別をゼロに近づけたいという願い。
主人公を同性愛者にしたのは、その表れかも。
『デスループ令嬢は生き残る為に両手を血に染めるようです』
沙寺絃(著)
千種みのり(イラスト)
講談社
2023年9月1日発売
想像力を鍛えて脳内映像化マスターへ!
※:執筆者の独断と偏見が含まれます。
※:本ページの情報は2023年9月時点のものです。
最新の配信状況はU–NEXTサイトにてご確認ください。
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