
前半のストーリー
2024年 第22回『このミステリーがすごい!』大賞文庫グランプリ受賞作行き着く先は破滅か、ステージか!待ち受けるどんでん返し!(中略)第22回『このミステリーがすごい!』大賞・文庫グランプリを受賞し、本作でデビュー。
UNEXT
活動に逼迫していた地下アイドルが、
取り返しのつかぬ事件を犯してしまう。
同じグループとして夢に邁進するため、
完全犯罪を目論んだ隠蔽工作に臨む。
◆登場人物
ルイ(22)……『ベイビー★スターライト』のアイドル
テルマ(19)……ルイと同じグループのアイドル
沢北イズミ(19)……ルイと同じグループのセンター
羽浦(37)……『ベイビー★スターライト』の事務所社長
土井…… 『ベイビー★スターライト』のマネージャー
河都……メディアにも露出するユニコーン企業の代表でイケメン
ガマ男……イベント会社のセクハラ社長
下谷……興信所の代表
『推しの殺人』
遠藤かたる(著)
宝島社
2024年2月6日発売
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詳しくは——
感情トリガーとあらすじ、場面
※:本ページの情報は2024年5月時点のものです。
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【感情のトリガー↓】0~224P(スマホ)
①偶像娘の裏【ー】
②遺体の隠蔽【訝・悲】
③山で車中泊【呆】
【トリガーの内訳】
①偶像娘の裏
②遺体の隠蔽
├カメラ対策【訝】(ハ?)
└住人の足音【悲】(ナンテコッタ!)
③山で車中泊
└ルイの告白【呆】(ッ⁉︎——)
【刺激された感情の種類:3種】
驚度😳:★
呆=突然で呆気にとられる(1)
思考🤔:★
訝=疑問を抱かせる言動や描写(1)
不幸😫:★
悲=悪くなった状況を認知する(1)
①偶像娘の裏【ー】
あらすじ——
コロナによる活動自粛の影響で、四年前の結成当時7名が3名までになった大阪発のアイドルグループ『ベイビー★スターライト』は、無名のままの解散危機に直面していた。
ライブ後の特典会でファンからダメ出しを受けていたメンバー最年長のルイに、歌もダンスも優秀なテルマ。その彼女と同じ19歳で、一番人気を誇るセンターのイズミ。
ポジションを奪われたテルマはイズミを嫌っているが、ルイはそんな二人とも上手く付き合っているし、イズミの秘密を黙認しながらも心配していた。
ライブ終わり、帰宅していたルイとテルマだけ社長の羽浦から呼び出され、二人はある重役の食事接待を強いられる。
料亭に連れてかれたルイとテルマは、そこでメディアにも露出する有名人のイケメン河都とも知り合うのだが、もう一人のイベント会社社長——ガマ男のセクハラに耐えかねたテルマが激昂し、食事会はお開きとなる。
目的のためなら汚れ仕事にも黙認する羽浦と口論で揉めたあと、テルマとルイは彼から立ち去った。
密かに引退を考えていたルイが自宅で床に就いていたとき、同じ『ベビスタ』のメンバーから電話が鳴る。
逼迫していた声の主はイズミだった。
②遺体の隠蔽【訝・悲】
あらすじ——
イズミから電話で呼び起こされたルイは、マンション7階にある社長の自宅兼事務所に自宅から直行し、床に倒れていた羽浦を目撃する。すでに息は絶えていた。
部屋の隅にたたずんでいたイズミから事情を聞き、遅れてもう一人のメンバーのテルマとも合流する。
イズミの犯してしまった罪を隠すことにしたルイとテルマも片棒を担ぎ、3人で羽浦の遺体を運び出そうとするのだった。
❶カメラ対策【訝】
亡くなった羽浦の遺体を山に埋めることにしたアイドル3人組は、マンション7階からそれを運び出そうと思慮を巡らせた。
遺体をベースケースに入れ、テルマがレンタカーを借りに向かう。その間、ルイとイズミが部屋の片付けをする。
しかし、ここで壁にぶち当たる。
エレベーターは故障していて使えない。階段を通って運ぼうにも、エントランスや裏口にも防犯カメラが設置されていた。カメラを避けて外にでるのは不可能である。
22歳でメンバー最年長のルイは諦めなかった。
防犯カメラの特徴を詳しくスマホで調べだし、SDカードのレコード式だと突き止める。
だが、夜間でも高画質で25日間の映像が記録できると謳っている。それ以上はどんどん映像が上書きされていくようだ。
恐らく、その前に羽浦の失踪が明るみになるだろう。
絶望的と思われたが、ルイはイズミに宣った。
「カメラ何とかできそう」——と。
——は?
いったいどんな方法で打開してみせるのか?
続きが読みたくなるシーンでありました。
❷住人の足音【悲】
防犯カメラの問題を解決した後、レンタカーを借りてきたテルマが事務所に戻り、羽浦の遺体を運ぼうとする。
夜遅いとはいえ、住人と出くわさないとも限らない。
ルイとテルマとイズミの3人で羽浦の入った重たいベースケースを運び、外階段を通って7階から慎重に下りてゆく。
外でエンジンをふかしていた信号待ちのバイクが去ったとき、ルイたちに戦慄が疾った。
カンカンカンと音が近づいてくるのだ。
外階段を上がってくる誰かの足音が。
——なんてこった!
もし、目撃されれば一巻の終わり。
羽浦の失踪偽装工作がおじゃんになります。
このピンチをどう切り抜けるのでしょうか?
ここも続きが気になるポイントですね。
③山で車中泊【呆】
あらすじ——
羽浦の遺体をマンションから運び出したあと、ルイの運転でイズミの祖父が所有する山に入り、設えてあった物置の道具で穴掘り作業にいそしむ3人。
目的を果たした彼女たちは、イズミの実家で休息をとり、ふたたび日常にもどっていく。
もし羽浦の失踪が発覚したときの対応についても話し合っていた矢先、レンタカーを店に返却した帰りのルイが、休暇でいなかった『ベビスタ』のマネージャーと昼間の街道で鉢合わせてしまう。
その二日後の『ベビスタ』ライブも無事に乗り切りった次の日の朝、悪いニュースが飛び込んでくる。
今週末に記録的な大雨が予報されており、もし、土砂災害が起きてしまえば山に埋めた羽浦の遺体が暴露する恐れがあるのだ。
不安に駆られたルイたち一行は、レンタカーを借りて再び埋めた山へと足を運び、当日の大雨に備えて前夜から車中泊をするのだった。
ルイの告白【呆】
羽浦社長を埋め終わったルイたち一行が、朝方の大阪市内にもどって24時間営業の銭湯に浸かっていたシーンである。
事件はイズミの不可抗力的な状況により起きてしまい、彼女に呼ばれて駆けつけたルイとテルマは愕然であった。
その場で痛々しい痣を見せていたイズミに同情したのか、妬み嫌っていたはずのテルマが彼女の肩をもち、3人でアイドルを続けたいというイズミの願いにルイも協力することにしたのだった。
貸切状態で湯に浸かっていたイズミが、二人にどうして協力してくれたのかという疑問を投げかけると、ルイは「仲間だから」と返し、テルマも照れくさそうに同意した。
それを聞いてイズミは安堵し二人に感謝するも、ルイはまだ終わってないと冷静に言う。いつどこでこの隠蔽工作の綻びが露見するかわからないし、なにがあっても3人で隠し通さなければならないからだ。
すっかり気が緩んでいたテルマ達は、ルイのその冷静ぶりに感心する。遺体を運ぶことができたのもルイの冷静な判断力が大きい。
経験者だから——ぼそっとルイが二人に呟き、続けた。
人を殺したことがある——と。
——ッ!?——
きっと、イズミもテルマも唖然だったはず。
罪悪感からそう思い込みたいだけなのか、それとも、イズミのように直接誰かの命を奪ってしまっていたのか。
後半の感情トリガー
【感情のトリガー↓】224~446P(スマホ)
①失踪の発覚【知】
②突然の逮捕【酷・呆】
③悪魔と取引【悲】
【トリガーの内訳】
①失踪の発覚
└秘匿性伝言【知】(ヘェ~)
②突然の逮捕
├父親の暴力【酷】(ヒドッ!)
└河都の報告【呆】(ッ⁉︎——)
③悪魔と取引
└ルイの過ち【悲】(ナンテコッタ!)
【刺激された感情の種類:種】
驚度😳:★★
呆=突然で呆気にとられる(1)
酷=情け容赦ない悪魔的な行動(1)
思考🤔:★
知=豆知識を教えてくれる(1)
不幸😫:★
悲=悪くなった状況を認知する(1)
全体を通してのプロット
A【人物・世界観の説明】
○大阪発のアイドルグループが、現在3名でライブ活動を行っている
○もうすぐ23のルイだけが古参者で、一番人気が高いイズミ(19)のサイドにテルマ(19)と付いている
○歌も踊りも一番上手い熱血タイプのテルマは、顔だけが取り柄のイズミにポジションを奪われた恨みを持っているが、年上で目立たないルイとは仲が良い
○イズミは密かに恋愛禁止事項を破っているが、ルイだけがそのことを黙認している
○『ベイビー★スターライト』の事務所は未だ無名のジリ貧で、アイドル生命も危機的な状況になっている
○事務所の社長は、売上ノルマを達成できてないルイとテルマを度々食事接待に連れ出している
a【物語が始まる起点・問題】
☆汚れ仕事と無縁だったはずのイズミが、事務所で社長を殺害してしまう
B【発生した問題への対処】
○イズミに呼び出されたルイとテルマが彼女に協力し、事件を隠蔽しようと工作する
b【問題の広がり・深刻化・窮地】
○避けられない監視カメラの壁
○事件が露見するかもしれない大雨問題
○社長の失踪の発覚
○マネージャーが依頼した興信所による聞き取り調査
C【人物の葛藤・苦しみ】
○いつ証拠を握られるか分からないという不安
○テレビ番組による不意な仕掛け罠
○真相を知った元交際相手からの脅迫
c【問題解決に向かう最後の決意】
★イズミとテルマの人生を守るため、ルイが元交際相手と交渉に臨む
D【問題解決への行動】
○駆けつけてきたテルマとイズミがルイを救出し、4周年記念ライブに直行する
読了した感想
◆アイドルたちの友愛が魅力
大阪発のアイドルグループ『ベイビー★スターライト』は、どんどん人気が衰退していき、現在3名だけでライブ活動をぎりぎり続けている状態でした。
メンバー同士のチームワークもよろしくなく、一人は歌も踊りも上達せず、一人は気持ちが弛んでいてファンからダメ出しを食らい、一人は仲間に対して嫌悪感をもっていたのです。
そんなばらばらの3人がある事件をきっかけに変わっていきます。
それが『推しの殺人』です。
アイドルを続けたいという意志を再確認し合ったルイとイズミとテルマは、おなじ目標に進んでいく中でお互いを信じ合い、秘密を共有していく仲となるのです。
クライムサスペンスなので最後はイヤミス漂うバットエンドかと思いきや、仲間を想い合う3人のハッピーエンドでありましたね。
『推しの殺人』
遠藤かたる(著)
宝島社
2024年2月6日発売
想像力を鍛えて脳内映像化マスターへ!
※:執筆者の独断と偏見が含まれます。
※:本ページの情報は2024年5月時点のものです。
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