
怨霊×呪い×大どんでん返し!
(前略)すべての謎が解けた時、あなたは必ず絶叫する。再読率100%の傑作ホラーミステリ!
UNEXT
◆登場人物
天宮淳……駄菓子メーカーの独身平社員
大原宗作(37)……自殺未遂で助かった淳の旧友
岬春夫……淳と宗作の旧友
江原数美……霧久井島を訪う観光客
遠藤晶子……霧久井島の観光客
遠藤伸太郎(25)……母に付き添う晶子の息子
虚霊子……宇津木幽子を崇拝する占い師
橘昭二……霧久井島の駐在警官
麻生……『民宿あそう』の館主
宇津木幽子……テレビで有名だった霊能者
◆あらすじ
幼馴染みの大原宗作が自宅で自殺未遂をした。淳は地元に帰ってきた彼と再会し、もう一人の旧友である春夫の提案で、宗作を励ます慰安旅行に出向くことになる。
目指すは瀬戸内海に散在する島の一つ、霧久井島。その小さな山と大きな山の谷にある限界集落に赴いたのは、ここで怨霊に祟られ、のちに亡くなった有名な霊能者が、死の直前にある予言を遺していたからだった。
そして、彼女の予言が的中してしまう。
霧久井島で一人の死者が出てしまった。
宇津木幽子を呪い殺したヒキタの怨霊の仕業か?
予言では、あと五名の犠牲者が出るという。
雨は止まず、台風の接近で島から出ることも助けを呼ぶことも不可能ときた。島民の様子もどこかおかしい。
幼馴染みの三人組は無事に生還することができるのか?
ホラー要素が漂うミステリーの先に、とんでもない真実が隠された霧久井島。さらにその先には、再読必須の大どんでん返しが待っている究極のクローズド・サークル・ミステリー爆誕!
【目次】
プロローグ
第一章(警告)
第二章(禁忌)
第三章(惨劇)
第四章(怨霊)
第五章(呪縛)
エピローグ
全322ページ
【感情トリガー】
プロローグ
第一章(警告)
├派手な女性【怪/訝】(ン⁉︎/ハ?)
└膨よかな女【警】(ナゼソコニ?)
第二章(禁忌)
├老婆の凝視【怪】(ン⁉︎ ナンダロウ?)
├旧友の様子【怪】(ン⁉︎ ナンダロウ?)
├旧友の不在【訝】(ハ?)
└港に浮く影【謎】(ナゾ)
第三章(惨劇)
├俄然と捲る【呆/肯/訝】(ッ⁉︎/タシカニ/ハ?)
├祖母の形見【驚】(エッ⁉︎ イガイ)
├くろむし群【謎】(ナゾ)
└咳き込む音【安】(ホッ)
第四章(怨霊)
├無茶な仮説【訝】(ハ?)
├怨霊の正体【知】(ヘェ~)
├あの人が?【訝】(ハ?)
└犯人の自白【解】(ナルホド)
第五章(呪縛)
├弾の残り数【怖】(ゾッ トスル)
├揺れる両脚【悲】(ナンテコッタ!)
├鳴響く銃声【呆/訝】(ッ⁉︎/ハ?)
├廃校の犯人【謎】(ナゾ)
├うるさいぞ【訝】(ハ?)
└犯した正体【蟠】(キニナル)
エピローグ
├家族の問題【驚】(エッ⁉︎ イガイ)
└伏線の盲点【肯】(タシカニ)
【刺激された感情の種類:13種】
幸福☺️:★
安=不安・恐怖が解消される(1)
驚度😳:★★★★
驚=予想外の出来事(2)
呆=突然で呆気にとられる(2)
思考🤔:★★★★★★★★★★★★★★
知=豆知識を教えてくれる(1)
解=不可解が解明される(1)
訝=疑問を抱かせる言動や描写(7)
謎=不可解な問題が提起される(3)
肯=諭す言葉に納得する(2)
不幸😫:★★
蟠=中途半端でまだ未解決(1)
悲=悪くなった状況を認知する(1)
恐怖😣:★★★★★
警=警戒心を抱いてしまう(1)
怪=様子に違和感を覚える(3)
怖=悪い予感を感じる無気味さ(1)
全体を通してのプロット
A【人物・世界観の説明】
大原宗作の自殺未遂がきっかけとなり、彼の旧友の淳と春夫が集まり、三人で慰安旅行を計画する。行き先は兵庫県に位置する小さな島、『霧久井島』。
霧久井島はオカルト界隈では有名な心霊スポット。九十年代半ば、その島で心霊番組に出演していた霊能者が体調不良となり、のちに亡くなったという。その宇津木幽子は、ある予言を死の直前に遺していた。今年の某日、霧久井島で六人の死者が出ると。
港に辿り着いた宗作、淳、春夫の三人は、霧久井島行きに警告してきた派手な女と出航ギリギリで現れた膨よかな女と共に、件の島へと向かう。
霧久井島の民宿で、春夫らは船に同乗していた派手な女と膨よかな女と再会する。そこで駐在警官、母子の旅行客、館主とも知り合う。
a【物語が始まる起点・問題】
霊能者——宇津木幽子の予言通り、港で浮かぶ死体が発見される。
B【発生した問題への対処】
駐在警官が遺体を検分し、弔う。
b【問題の広がり・深刻化・窮地】
元看護師の再検分により、殺人疑惑が浮上する。
予言通り、犠牲者が増える。
島民らに押しかけられる。
集落に死をもたらす怨霊が迫ってくる。
C【人物の葛藤・苦しみ】
迫り来る怨霊から皆んなで避難する。
宇津木幽子の予言に状況が近づいていく。
避難所で更に追い詰められる。
c【問題解決に向かう最後の決意】
遭難者を救いに危険を冒す。
D【問題解決への行動】
廃校舎に立て籠もる遭難者と対面する。
読了した感想
◆初見ではやっぱり気付けない
違和感はあんたんですよ。ほぼ同じ歳であろう淳、宗作、春夫の幼馴染みどうしの会話で、なぜ、たまに敬語が出てくるのか。キャラ設定がブレてるなぁと感じつつ読み続け、今度は、これ誰のセリフが分かりにくいと思うようなところもある。
はい、これらは著者による狡猾な罠だったのです。再読して全て納得いたしました。
あっ、このセリフ……って。
三人称一元視点の斬新な裏技に驚愕ですね。
◆心霊番組の裏側におどろき!
かつて日本中に名を轟かせた有名な霊能者たち。写真から霊視をしたり、断片的な未来を視たり、相手の過去の出来事までも言い当ててしまう、そんな不思議な力の持ち主。
それを目の当たりにした人たちは、つい本物なのだと盲信し、彼らの言葉を拠り所にする信者になってしまう。
でも実は……ってところが書かれていて面白かったです。
崇拝する宇津木幽子の力に憧れ、占い師を自称する派手化粧の虚霊子と、霊能者はインチキだと反対の立場をとる膨よかな江原数美とのやりとり。相手を信じさせる専門的な用語も出てきます。
なぜ、予言が的中するのか?
なぜ、過去や未来が視えるのか?
もう、過去の心霊番組を素直に観れなくなりますよ。
◆感情刺激数がヤバい!
とくに疑問を抱かせるような描写が多かったです。
ハ? それ、どうこと?
思わず問うてしまい、その先が気になって読まずにはいられない状態に何度もなりました。
相手からのよく意味が分からない揶揄、突然の不穏の知らせ、断言してみせた事実の否定、飛躍した疑いを認めてしまう肯定、その人だけ真実に気づいたような発言、必要性のない手口が見られたとき、人格を疑うようなバグったセリフ、といった描写です。
なぜこんなところで人が亡くなっているのか、容疑者がいない空間でなぜ被害者が出たのか、みたいなミステリーだけでなく、ちょっとした訝しさも面白い秘訣になってるんでしょうね。
『予言の島』
澤村伊智(著)
KADOKAWA
2021年6月15日発売
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