
ゾンビ×パニック×ミステリ
ミステリランキング驚異の4冠!
シリーズ累計50万部!!
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◆登場人物
葉村譲……神紅大学経済学部一回生。ミステリ愛好会会員
明智恭介……同理学部三回生。ミステリ愛好会会長。「神紅のホームズ」
剣崎比留子……同文学部二回生。幾多の事件を解決に導いた探偵少女
進藤歩……同芸術学部三回生。映画研究部部長
星川麗花……同芸術学部二回生。演劇部部員。進藤の恋人
名張純江……同芸術学部二回生。演劇部部員。神経質な性格
高木凛……同経済学部三回生。映画研究部部員。姉御肌
静原美冬……同医学部一回生。映画研究部部員。大人しい性格
下松孝子……同社会学部三回生。映画研究部部員。明るく強か
重元充……同理学部二回生。映画研究部部員。特殊な映画のマニア
七宮兼光……同映画研究部OB。紫湛荘のオーナーの息子
出目飛雄……同OB。七宮の友人
立浪波流也……同OB。七宮の友人
菅野唯人……紫湛荘の管理人
浜坂智教……儀宣大学生物学准教授
班目栄龍……岡山の資産家。班目機関の設立者
◆あらすじ
『神紅のホームズ』と自称する明智先輩から熱く口説かれ、二人しかいないミステリ愛好会会員となった平凡な青年——譲は、校内の食堂で、映画研究部が夏休みに合宿するという情報を明智から報される。
同年代が集う夏のペンション合宿。そこにミステリーな事件との遭遇を期待した明智は、映研の部長に何度も参加希望を打診していた。
八月に入り、暇を持て余していた譲と明智に、好機が訪れる。二人がいる喫茶店に同大学の美少女が現れ、自分と一緒に件の合宿に参加してほしいと頼んできたのだ。なにやら差出人不明の脅迫状がペンションに届き、多くの欠員が出たとのこと。
後に、譲たちを誘ってきた女性は、幾多の事件を解決したことがある名探偵だと知る。その名は、剣崎比留子。
合宿当日、山間にある洋館風のペンションに参加者が揃う。学年も学部も様々なメンバーが十名、同大学のOBが三名、そして、管理人の男を含めると計十四名。
合宿の目的は表向き、映研の心霊撮影ということになっているが、本当の目的は、ペンションの貸し主であるOBが企画した、男女のコンパであった。参加メンバーは、それぞれ男女ペアになり、ちょっとした肝試しが行われるという。
一方で、ある恐ろしい計画が実行されていた。しかも、譲たちが泊まるペンションの近く。そこには、ロックフェスで今も多くの人たちが集まっている。
バイオテロだ。
バイオハザードによって大量のゾンビが合宿メンバーを脅かす。メンバーらはペンションに引き返し、ゾンビたちの侵入を阻止した。彼らは、救助が来るまで残りの備蓄を頼りに各部屋で一夜を明かす。
一人のメンバーを除いて……。
部屋はカードキーによるオートロック式。開けるとその人物はベランダのところで倒れていた。躰には齧りついた跡が見られる。
ゾンビの仕業か?
しかし、侵入された形跡はない。
クローズドサークルで起きた謎の密室事件。
なぜか犯人のメモ書きが残されていた。いったい、犯人は何者なのか? どんなトリックを使ったのか? ワトソン役の譲とホームズ役の比留子が挑む、ゾンビ・パニック・ミステリー!
【目次】
第一章 奇妙な取引
第二章 紫湛荘
第三章 記載なきイベント
第四章 渦中の犠牲者
第五章 侵攻
第六章 冷たい槍
エピローグ
全346ページ
【感情トリガー】
第一章 奇妙な取引
└学食の推理【訝】(ハ?)
第二章 紫湛荘
第三章 記載なきイベント
├床の注射器【察】(マサカ…)
├時計の証言【肯】(タシカニ)
├人影が三つ【怪】(ン⁉︎ ナンダロウ?)
└アロハの男【喜/呆】(オー!/ッ⁉︎——)
第四章 渦中の犠牲者
├潜在犯の影【察】(マサカ…)
├判別不可能【仮】(モシカシテ)
├止めの刺突【呆】(ッ⁉︎——)
├メッセージ【謎】(ナゾ)
├侵入の仕方【知】(ヘェ~)
├入れ替わり【落】(ガッカリ)
└デスク照明【蟠】(キニナル)
第五章 侵攻
├男の叫び声【呆】(ッ⁉︎——)
├安全圏で死【訝】(ハ?)
├睡眠薬混入【仮】(モシカシテ)
├人の運び方【悸】(ドキッ)
├殺害の手口【推】(マテヨ…)
├鞄の中身?【蟠】(キニナル)
├顔面の負傷【謎】(ナゾ)
├謎は解けた【訝】(ハ?)
└部屋の侵入【悔】(チクショー)
第六章 冷たい槍
├手口の違い【訝】(ハ?)
├犯人の正体【清】(スッキリ)
├高い致死率【驚】(エッ⁉︎ イガイ)
└片をつける【呆】(ッ⁉︎——)
エピローグ
学食の推理【訝】(ハ?)
人間観察をしていた探偵が、相手が選ぶ昼食メニューを推理し、二択まで絞り込み、そして一つの結論をだすが、全く検討はずれの答えが返ってくる
大学のサークルメンバーとOBが合宿先のペンションに集まっている。映研のメンバーがその近くの廃ホテルで心霊撮影をしていたなか、部屋の隅で捨てられていた注射器が見つかる。実はその背景で、ある生物学准教授の研究室が公安に押さえられていた。准教授は同志を集めてバイオテロを目論んでいる。彼らが潜んでいた場所は山中の廃ホテルで、自身の躰に菌の入った注射器を打っていた。察するに、映研がいる廃ホテルの近くには、まだテロリストがいると推測できる
サークルメンバー同士の合宿先で、ハンカチに包んでおいたAの腕時計が紛失したという。すると、Bがさっきまで「ハンカチに包まれていた時計を確かに見た」と証言する。Cは、Bが見誤った可能性を指摘する。が、DはBの証言は真実だと断言した。なぜなら、Aは「ここに置いといた時計が失くなってる」としか言ってなかったから。時計は包まれていたわけだから、めくって確かめない限りBからハンカチに包まれてた時計という言葉は出てこない
山中のペンションに遊びにきていたサークルメンバーは、男女1組のペアを作り、肝試しゲームに参加していた。近くの神社へ札を取りに行くという流れで、ある男女が二番手で進んでいく。すると、突然、神社の方角から悲鳴が聞こえてきた。最初のペアが引き返してきたのかと思うも様子がおかしい。人影が三つある
山中のペンションの近くで男女1組ずつが肝試しをしていた。すると、先を進んでいたペアが鬼気迫る勢いで戻ってくる。得たいのしれない者たちが襲ってきたらしい。それも大勢いる。ゾンビさながらに。主人公たちは急いでペンションに引き返した。が、大事な仲間がまだ姿を見せない。助けられないと諦め、シャッターを降そうとした瞬間、無事に逃げきてきた仲間が姿を見せた。
一人は無事にペンションに戻れたが、もう一人はギリギリのところでゾンビに足を捕まえれ、目の前でふくらはぎを齧られる
知り合いのペンションで合宿することにしたサークルメンバー。彼らはOBの連中と宿の管理人も含め、一緒に二泊三日を共に過ごす予定だった。初日の夜、近くで肝試しをしていたら、突如、ゾンビのような集団に襲われ、ペンションに引き返した。実は、背景で公安に恨みをもつ生物学の准教授がバイオテロを計画し、人が多く集まるライブ会場で菌をばら撒いていたのだ。その近くに件のペンションがあったため、ゾンビ化した人々に襲われたということ。そこであるモノローグが語られる。ゾンビ達の登場を好機ととらえ、憎き相手に復讐を果たそうとしている内容だった。「行こう、奴は部屋にいる」と。察するに、去年ペンションに参加していた女子大生の自殺が関係していると思われる。その親族か恋人かがペンションに潜りこんでいるのだろう。今年から代わっていた管理人の男がモノローグの人物だと思う
ゾンビに囲まれてしまった状況を復讐に利用しようとしている者がいるなか、事件は起きる。合宿先の宿で、サークルメンバーの一人が自分の部屋で倒れていたのだ。ゾンビに侵入された形跡は見当たらないが、被害者Aの全身も含め、顔の判別ができないほど齧られていた。ここで仮説が立つ。Aはまだどこかに隠れているのではないか? 前日、すでにメンバーの一人——Bが宿の手前でゾンビ達に喰われていた。Aは自分の死を偽装するため、ゾンビにやられたBを外から部屋まで運んでいたのかもしれない
ゾンビに囲まれたペンション内で、無惨な姿にされたサークルメンバーが部屋で発見される。彼の顔半分は喰われており、既に死んでいると思われた。が、僅かに躰を動かした。メンバーの一人が警戒を促す。「彼はゾンビに変異するかもしれない」と。他のメンバーもケガの手当てをすべきか、止めをさすべきか躊躇している。すると、武器を取りにいっていた他のメンバーが、有無をいわせず槍の刺突で止めを刺した
周囲がゾンビ達に埋め尽くされたペンション内で、翌朝、サークルメンバーの一人が何者かに襲われていた。発見される少し前、被害者の部屋のドアに『ごちそうさま』というメモが挟まっていたと他のメンバーが証言する。不審に思い、集まったメンバー達が被害者の部屋を調べると、今度は『いただきます』というメモが残されていた。ゾンビに襲われたと皆んなに思わせれるのに、なぜ、わざわざ「この中に犯人がいます」という暗示を与えるのかが意味不明
ドアガードの外し方
(https://www.youtube.com/shorts/rmQWTVCi7Oc)
ドアチェーンの外し方
(https://www.youtube.com/watch?v=efstT8hFHnw)
ホテルのオートロックの開け方
(https://romenavi.blog.fc2.com/blog-entry-2807.html)
ゾンビに囲まれたペンション内の部屋で、サークルメンバーのAが亡くなっていた。顔は判別できないほど喰われており、殺したのはゾンビと推測される。だが、ゾンビに侵入された形跡はなく、部屋で見つかった犯人の手紙も謎のまま。助手が仮説を述べていき、探偵がその可能性を否定していく。仮に外部犯Bの仕業なら、なぜ、判別できないほど顔を破損させたのか? ならAが犯人で、Bの正体を隠そうとしたのではないか。と助手は言いつつ、髪型からして遺体は確かにAだったと今更認める。AがBを使って自分の死を偽装し、どこかに隠れてるという推測が外れてガッカリ
クローズドサークルとなったペンションの部屋で、サークルメンバーのAが殺されていた。結局、情報不足により犯人の正体も犯行手口も判ってない。メンバーは一旦、自室に戻って床に就こうと解散する。主人公も自室に戻ったが、外から漏れている明かりに気づく。しかも、Aの部屋から。ところが、主人公は単に消し忘れだろうと気にもせず、床に就いてしまう
三階まである大きなペンションで籠城していたサークルメンバーがいる。一階はすでにウィルスに感染したゾンビらで埋め尽くされていた。メンバーらは、二階に上がれないようバリケードを作り、非常階段にも同じようにする。今のところ、ゾンビらの侵入からは守られていた。三階の自室で寝ていた主人公は、誰かの悲鳴で起こされる。館内を数時間置きに見回りしてくれていた管理人の声。二階の非常階段が突破された、と
ついに二階の非常口階段が突破されてしまった。見回りをしていた人がそう叫び、各部屋で籠城していたサークルメンバーが三階に集まる。二階のラウンジは、まだゾンビ達に侵入されていないという。メンバーの一人が、姿を見せてない仲間の安否を心配する。すると、見回りをしていた人が言う。「ラウンジで殺されていた」と。つまり、犯人はペンション内にいるこの中の誰か? どういう状況だったのか全く不明で疑問が残る
未だゾンビらから籠城しているペンション内で、またも犠牲者が出てしまった。三階に避難したサークルメンバー、同じ大学のOB、管理人。彼らの一人がある違和感に気づいた。眠っている間、廊下に傾れ込んでいたゾンビの足音に気づけなかったと。しかも起きた時、手に力が入らず、躰もふらついていたと。すると、他の人達も同じような症状が見られたという。そこである疑惑が浮上する。私たちは睡眠薬を盛られたのではないか、と。昨夜は皆んな、人の手が加わった非常食を夕飯に食べていた。この事実からある仮説が立つ。もしかして、その非常食を振る舞った人物が薬を盛ったのかもしれない
サークルメンバーが泊まるペンション内で殺人事件が発生。現場の状況から、犯人は被害者Aの部屋のロックを突破し、寝ているAを襲っていた。そして、遺体は部屋を出たすぐ目の前のラウンジにある、エレベーターまで移動されていた。Aはそこそこ体重があり、小柄な女性では運べないだろうと誰もが思う。が、メンバーの一人——可愛いと美人を兼ね備えた小柄な女性が異議を唱え、主人公の男を使って女性でも運べることを実証しようとする。その時、被害者役を演じていた主人公の背中に、彼女の胸が押しつけられる。主人公は驚いた。小柄なのに凶悪なものを持っていると
ペンション内の一階はウィルスに感染したゾンビらで埋まっている。サークルメンバーは二階と三階の各自の部屋で寝ていた。明け方、なぜか二階のラウンジに面したエレベーターの中で、メンバーの一人——Aが亡くなっていた。明らかにゾンビに齧られた形跡が見られるが、ゾンビの姿は確認できない。それだけでなく、探偵がおかしな点に気づく。エレベーター内は飛散した被害者の血痕で血塗れだったのに、閉じた扉の内側には、一切、血が付いていなかったのだ。三階のエレベーターも同じ。これは、被害者が一階で殺されたことを意味する。どうやって犯人は被害者をゾンビに襲わせ、二階に昇らせたのか? まてよ……、エレベーターの重量制限を利用すれば可能かもしれない。この件の前に、ラウンジに置かれた銅像が二体、少し位置がズレていたという。どれも重さは50キロ近く。エレベーターに被害者A、銅像二体を乗せ、一階に降ろさせる。そこでAがゾンビに喰われる。で、二階に昇らせる。最悪、ゾンビが乗っていても一体以上は重量制限で不可能。一体だけなら武器で倒せる。後は、近くのラウンジ窓まで運び、そこからゾンビを捨ててしまえばこの事件を再現することができる
外とペンションの一階はゾンビに埋め尽くされ、サークルメンバーは二階と三階でやり過ごすしかなかった。そんな時、三階の個室で被害者Aの遺体が見つかる。部屋はオートロックが掛かっており、ベランダの窓は開いていた。そこでAはゾンビに喰われていたらしい。しかし、ゾンビの姿はない。デスクのライトは点いたままだった。飛び散った血のついた掛け布団はきれいに置かれたまま。Aが自衛用に所持していた武器は壁に立てかけてある。つまり、Aは警戒する間もなく突然襲われ、ベランダの方へ逃げていったとみられる。犯人は密室のドアを突破した内部の者の仕業か。探偵は不可解な点に気づく。血のついた布団をめくると、裏側に表と違う血が付いていたのだ。なのに布団は乱れていなかった。これは何を意味するのか? その時は探偵は閃く。部屋の中の鞄の中身に
サークルメンバーが泊まるペンション近くで、大量のゾンビが発生した。彼らは外に出れず、助けもよべず、ただ、救助を待つのみ。やがて、ゾンビらに玄関を突破され、一階も埋め尽くされてしまった。翌朝、三階の自室で睡眠をとっていたはずの一人がゾンビに襲われ、亡くなっていた。オートロックの掛かった部屋にゾンビの姿は見られなかったが、顔を酷く齧られていたのだ。ついに二階の非常階段が突破され、メンバーらは避難に苦戦する。そんな窮状で一人のメンバーが違和感に気づく。ゾンビに齧られ、ゾンビに変異した者達でも、顔の確認くらいはできることに。ということは、殺された被害者Aの顔の過剰な損壊は、犯人の意図によるものだったのか?……なぞ
ペンションの周りはゾンビだらけというクローズドサークル内で、連続殺人が起きていた。一人は三階の自室でゾンビと思しき齧り跡を残され、ベランダ側で死亡。二人目は二階のラウンジに面したエレベーター内で同じく死亡。ところが、犯人であるゾンビの姿はどの室内にもいなかった。代わりに二つの遺体の現場には、犯人のメモ書きが残されている。今は一階も二階もゾンビらに侵入され、三階に避難しているサークルメンバー。彼らは昨日の違和感について話し合う。二階の被害者の部屋でずっと流れていたラジカセの音楽が、一度、不自然に止まったらしい。夕方四時半に。だが、その時間帯、まだ被害者は生きていたと別のメンバーが証言する。すると、探偵が昨晩の様子を管理人に訊ねた。三階で最初に殺された被害者の部屋はどうだったかと。マスターキーを持って見回りをしていた管理人は、デスクのライトが点いたままだったが、そのままにしておいたと言う。何がヒントになったのか不明だが、それを聞いた探偵は、犯人と手口もすべて解ったと宣言する
ペンション内で起きた連続殺人事件。犯人はオートロック式の部屋に侵入し、被害者を殺害していた。この侵入方法を探偵は呆気なく解いてしまう。マスターキーが無くても侵入は可能。なぜなら、いつどこから襲われても逃げれるように、サークルメンバーらは部屋を出る時にドアガードを挟めて半開きにしていた。犯人は標的が部屋を出た隙をねらい、侵入し、カードキーを自分のと差し替える。後は標的が戻る前に立ち去れば、いつでも寝ているとこを襲えるということ。カードキーのすり替えという盲点に気づけなかったとは悔しい
ペンション内で起きた二つの殺人事件。一人は自分の部屋で殺され、もう一人は部屋から外へ運ばれて殺されていた。最初の被害者はゾンビに噛まれたままの姿で放置。次の被害者は執拗に頭部を破損させている。二つの手口の違和感の正体——そそれは犯人が別々だったと探偵は言う
ペンションの出入りは外に屯っているゾンビらで不可能。また、サークルメンバーに割り当てられた部屋はオートロック式で、専用のカードキーでないと開けられない。そんな二重密室ともいえる状況で、被害者Aは犯人に部屋を侵入され、殺されていた。だが、カードキーのすり替えを行えば、誰でも犯行ができる。Aはいつでもゾンビから避難できるよう、部屋を出る時は、半開きにしていたからだ。そこで探偵は、容疑者を絞りこむ論説に移っていく。昨日、Aは夕食後、自室に籠っていた。犯人はその前にすり替えていたことになる。Aは犯人のカードキーが差さっていることに気づかない。で、皆が睡眠薬で寝静まったころ、犯人がAの部屋に侵入した。つまり、この時まで犯人は自分の部屋に戻れなかったということ。夕食後に解散したあと、自分の部屋に入ったと証明できる人は容疑者から除外できる。この消去法によって最後の一人が判明する。真犯人が
犯人はどうやって部屋に籠城しているAを殺害できたのか? 部屋に侵入しようにも、すでにゾンビらで廊下は埋め尽くされ、犯人ですら通ることは不可能。しかし、毒殺ならできると探偵は言う。しかも、その毒はこのペンション内で調達したと。だが、毒薬になるようなものはどこにも置いてないはずだった。感染力の高いゾンビの血を除いては……
復讐をやり遂げた犯人だったが、逃走に苦戦中、ゾンビに躰を噛まれてしまっていた。いずれ変異し、ゾンビに変わると悟った犯人は、罪悪感からこの復讐劇に幕を下ろす。自分の脳を貫いて
【刺激された感情の種類:16種】
幸福☺️:★★
喜=恵まれた状況を認知する(1)
清=怨みや蟠りが解消される(1)
驚度😳:★★★★★
驚=予想外の出来事(1)
呆=突然で呆気にとられる(4)
思考🤔:★★★★★★★★★★★★
肯=諭す言葉に納得する(1)
知=豆知識を教えてくれる(1)
訝=疑問を抱かせる言動や描写(3)
謎=不可解な問題が提起される(2)
察=ヒントから展開の予測がつく(2)
推=事件の謎を解く手がかりを得る(1)
仮=知り得た情報からある仮説が立つ(2)
不幸😫:★★★
落=期待外れに落胆する(1)
蟠=中途半端でまだ未解決(2)
恐怖😣:★
怪=様子に違和感を覚える(1)
攻撃👊:★
悔=見落としていた箇所を教えられる(1)
乗気🤩:★
悸=魅力的な異性と急接近(1)
全体を通してのプロット
【人物・世界観の説明】
孤独な青春時代を過ごしてきた譲は、ミステリ愛好会会長の先輩から「俺の助手になれ」と勧誘され、会員になる。
四ヶ月後の八月、大きな事件とは無縁で暇を持て余していた頃、三回生の明智会長がある情報を掴み、譲を誘う。
映画研究部が夏休みの合宿先で、心霊映像を撮るらしく、事件性が期待できる。
だが、明智は映研の部長に幾度も断られていた。
そんな時、二人の前にに一人の美少女が現れる。
差出人不明の脅迫状が届き、映研部員の多くが合宿を辞退したと彼女は告げる。
そのペンションは曰くつきで、去年、合宿に参加していた女子部員が自殺していた。しかし、ペンションを貸してくれたOBの手前もあり、部員以外でも今なら参加できるという。合宿の目的は男女のコンパだった。
そこで、二回生の剣崎比留子と名乗る彼女が奇妙な取引を持ちかける。一緒に合宿に参加して欲しい、と。その代わり、その理由は訊かないこと。
比留子との取引は成立し、譲と明智も曰くつきの合宿に参加する。
合宿先のペンション——婆可安湖の近くに建つ紫湛荘——で、計十四人の参加者が合流する。その中には、管理人と同大学のOBが混ざっていた。
二泊三日の初日、近くのホテル跡で心霊撮影をしていたサークルメンバーは、その後、男女一組での肝試しをすることになる。
【物語が始まる起点・問題】
肝試しをしていたペンションの近くで、突然、ゾンビのような得体の知れない集団に襲われる。
【発生した問題への対処】
合宿メンバーはペンションに引き返し、救助が来るまで籠城する。
【問題の広がり・深刻化・窮地】
ペンションで一夜を明かした早朝、自分の部屋で殺されていたサークルメンバーが発見される。
被害者を襲ったのはゾンビと推測できるが、侵入された形跡はない。また、内部の仕業とみられる犯人の手紙が被害者の部屋で見つかっているが、その意図と犯人も謎。
婆可安湖で起きたバイオハザードにより電話も携帯も使えず、助けが呼べない。水と食料も備蓄分の数日しか持たない。
【人物の葛藤・苦しみ】
ゾンビらの侵入が広がっていく。
また不可解な犠牲者が増える。
犯人のトリックを解こうと紆余曲折する。
【問題解決に向かう最後の決意】
あるヒントがきっかけとなり、探偵が、謎は解けたと宣言する。
【問題解決への行動】
探偵が犯人のトリックを解明し、消去法で真犯人を突き止める。
読了した感想
◆犯人を絞らせてくれない!
ミステリーを起こす犯人が合宿の参加者にいることは分かっていても、容疑者を固めることはできませんでした。皆んな怪しいように描写されていて、ころころ予想が変わっていきます。まるで手のひらで踊ろされてるような感覚でした。
◆ゾンビがより難解にさせる!
生物学者が開発した殺人ウィルスによって、ロックフェスに来ていた観客がゾンビのように変身しました。彼らは生きてる人間に齧りつき、仲間を増やそうと襲ってきます。
一般的なミステリー小説の犯人って、物理的な道具か化学薬品で標的を殺害しますが、今回はそのどちらとも違う。
まさかのゾンビですよ。
一応、この化け物の特徴・動きの縛りみたいな条件は教えてくれますが、まだ未知数が孕んでいて仮説の範囲が広がります。「ジャンプしてきたんじゃないか」とか、「感染者に触れただけでも感染するんじゃないか」とかね。
本当にこんな不可解な犯行が可能なのかと疑問に思っていましたが、最後の比留子さんの解決編で理解がやっとできたという感じ。
ミステリの天才ですね。
◆多角的な推論の談義が面白い!
クローズドサークルで起きた殺人事件。その謎を解こうと助手がいろんな可能性のある仮説を説き、それらを探偵が論理的に消去していく過程が楽しい。合宿メンバーとも同じようなやりとりがあり、そのおかげでまだ見えない真実がどんどん絞られていく。逆に新たな謎にぶち当たることもありますが、それがミステリの醍醐味だと思います。推理小説には俯瞰が大事ってことですね。
『屍人荘の殺人』
今村 昌弘(著)
東京創元社
2019年9月13日発売
全346ページ
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