
時間遡行×ファンタジー×ホラーサスペンス×ラブコメ
突如、異世界へ召喚された高校生ナツキスバル。普通の一般人である彼に特殊な知識も技術も武力もあるわけもなく、さらに手にした能力は『死んだら時間が巻き戻る』という痛みを伴う『死に戻り』のみだった!
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◆登場人物
ナツキ・スバル(17)……突如、異世界に召喚された高校生
謎の美少女……???
パック……謎の美少女と家族同然の猫精霊
ラインハルト・ヴァン・アストレア……『剣聖』と呼ばれる騎士の中の騎士
ロム爺……盗品窟の主
フェルト(15)……王都の貧民街育ちの盗人少女
エルザ・グランヒルテ……艶めいた雰囲気をまとう美女
カドモン……厳つい商売人
◆あらすじ
気がつくと、現実ではありえない光景が目の前に広がっていた。
いわゆる異世界ファンタジーに召喚されたナツキ・スバルは、王都の街の路地裏で恐喝に遭い、銀髪の美少女と邂逅する。パックという名の猫精霊を携えたハーフエルフで、摺られた徽章を取り返そうとしてる彼女にスバルも協力するのだった。
紆余曲折しながらも二人は王都の最奥に佇む盗品蔵に辿り着く。
先に入って行ったスバルは、そこで誰かの切断された部位を発見する。何が起きてるのか考える間もなく不意打ちで襲われ、彼は絶命してしまうのだった。
が、気がつくと現実ではありえない光景が……
スバルは、再び異世界に蘇っていた。
前にも見覚えのある状況。
いったい、自分を殺したのは誰だったのか?
あの銀髪の美少女は無事なのか?
無一文で元引きこもり高校生の低スペック男子が、『死に戻り』スキルを武器に悲劇の結末を変えようと足掻く、ファンタジー・アクション・サスペンス‼️
【目次】
プロローグ 始まりの余熱
第一章 始まりの終わり
第二章 遅すぎる終わり
第三章 終わりと始まり
第四章 四度目の正直
第五章 ゼロから始まる異世界生活
エピローグ お月さまが見てる
全282ページ
【感情トリガー】
プロローグ 始まりの余熱
└最後の余熱【茫】(????)
第一章 始まりの終わり
├念願の膝枕【笑】(アハハ)
├少女の名前【怪】(ン⁉︎ ナンダロウ?)
├童女の笑み【快】(シアワセソウ)
├転がるモノ【呆】(ッ⁉︎——)
└最後の余熱【解】(ナルホド)
第二章 遅すぎる終わり
├麗しい女性【察】(マサカ…)
├凶悪と死闘【奮】(ブルッ!)
└絶対的な死【恐】(コワッ!)
第三章 終わりと始まり
└転んだ自分【驚】(エッ⁉︎ イガイ)
第四章 四度目の正直
├赤髪の剣士【警】(カカワッテキソウ)
└美女と遭遇【虞】(ヤバ)
第五章 ゼロから始まる異世界生活
├一人の英雄【察】(マサカ…)
└彼女の名前【悦】(ヨカッタ)
エピローグ お月さまが見てる
└盗人の勾引【蟠】(キニナル)
最後の余熱【茫】(????)
主人公が何者かに襲われた状態から始まり、虫の息に直面してる。
犯人は不明。誰かが主人公のところにやってきた。が、悲鳴と共に、その人物も襲われた。
主人公は「必ずお前を助ける」と誓い、そして息絶えた。
いきなり異世界に転移した主人公。
早々、路地裏でゴロつきに暴行された主人公は猫精霊を携える美少女に助けられた。
気絶から意識を取り戻す。
地べたに転がっている主人公は、何かを枕にしていた。
すると、先ほどの美少女の声が聞こえてくる。「まだ動かないで」と言っている。
現実世界では、ただの憧れだった女の子の膝枕。恵まれた今の状況を良いことに、その感触を肌で楽しもうとする。
想像以上にふわっふわな毛並みの柔らかさ。美少女って思ったより毛深いんだなと感想を呟き、すぐにそんな訳あるかと自分で突っ込む。膝枕してくれてたのは猫精霊の方だったというオチが意外で滑稽。
主人公は異世界でゴロつきに絡まれてたところを謎の美少女に助けられた。その恩返しで盗人の捜索に協力する。
道中、助けてもらった謎の美少女の名前を尋ねる。
すると、なんだか距離感を感じさせる態度で「サテラ」と名乗った。そう呼ばれるのを拒絶しているような。
美少女の髪に隠れていた猫精霊がボソッとつぶやく。「——趣味が悪いよ」と。
異世界に召喚された17の主人公は、ゴロつきに絡まれてたところを美少女に助けられた。その恩返しで盗人の捜索に協力する。
道中、迷子になっている童女と遭遇した。
心優しい美少女が話しかける。が、童女は警戒して泣き出した。
機転を利かせた主人公が道化てみせ、警戒心を解く。
母親と逸れたらしい。二人は母親を見つけてあげると請け合い、童女を安心させる。
主人公と美少女が童女を挟んで、手を繋ぎながら歩いていく。「まるで若夫婦とその子供に見えない?」と主人公が茶化し、美少女は「兄妹にしか見えない」とにべもなく返す。「ドライな意見なのか天然なのか判らないな」と主人公が呟いた。
そんな痴話喧嘩みたいなやり取りに、不安で一杯だった童女の顔がパアッと笑顔で弾けてみせた。
異世界の路地裏で美少女に助けられた高校生主人公は、彼女の盗まれた物を取り返しに盗品蔵にやってきた。
現代で使用していた携帯を交渉材料に、主人公がまず先に入っていく。美少女は建物の入り口で待機中。
仄暗い中に入っていくと、店主らしき人物も他の客も見当たらない。何かの液体を踏んだらしく、嫌な感じが主人公を襲う。
灯りでその違和感が判明した。
転がっていたのだ。切断された腕が。
プロローグで主人公は何者かに襲われ、殺された。その経緯が物語の進行で明らかになる。
突如、異世界に召喚された主人公は美少女と出遇い、彼女の盗まれた品を取り返そうと盗品蔵にやってきた。
美少女を入り口の警戒に当たらせ、主人公が交渉しようと中に入っていく。
主のモノと思われる切断された腕が床に転がっていた。
すると、背後から女の声が聞こえた。ふり向く暇すら与えられず、主人公は壁に叩きつけられ、床に突っ伏した。
先に捉えた感覚は『熱』。
気づくと腹が大きく裂けており、大量の血が流れていた。
異変に気付いた美少女が主人公の下に駆けつけようとするが、間もなく彼女も襲われ、意識が途切れる主人公の目の前で倒れてしまう。そして二人とも息絶えたのだ。
突如、異世界に召喚された高校生主人公は、精霊を使役する美少女と出遇う。
彼女はスリの被害に遭い、大事な徽章が盗まれていた。それを取り返すため、主人公も協力する。
二人は情報を集め、裏で売買している盗品蔵にやってきた。
そこで主人公は奇襲に遭い、犯人も判らず絶命した。
最後に聞いたのは女性らしき人の声だった。
すると主人公はふたたび異世界で意識を取り戻す。事態を飲み込めていないが、記憶を頼りに盗品蔵へ訪った。
前回と違い、蔵の主と、徽章を盗んだ本人と出会う。
主人公は自分の所持品と徽章の交換を願いでるが、雇い主が現れるまで焦らされる。
ついに盗人の雇い主が蔵に現れる。
其れは見目麗しい女性だった。察するに、主人公を殺した犯人ではないかと思われる。
異世界に召喚された高校生主人公は何者かの奇襲により、遺体が転がっていた盗品蔵で絶命した。
ふたたび異世界で目覚めた主人公は、もういちど盗品蔵を訪れる。
今回は盗品を売り捌く屈強そうなブローカーに、盗みが生業の小娘と出会った。
そこに、もう一人の客人が現れる。盗みを依頼していた雇い主の美女。
ある盗品を巡る交渉で主人公が優位に立つと、お淑やかだった美女が豹変する。恐ろしい凶器を武器に、主人公を殺そうとしてきたのだ。おそらく、前回主人公を殺した犯人もこの美女と思われる。
小娘の助けで命拾いするも、謎の美女の勢いは止まらない。
すると力自慢のブローカーが渾身の雄叫びを上げながら謎の美女に飛び掛かった。
主人公は一度、何者かに殺されていた。
ふたたび異世界で目覚めた主人公は、もう一度盗品蔵で目的の品を手に入れようと試みる。
ところが、主人公の思わぬ失態により、蔵にいた客の美女が本性を顕す。前回襲ってきた犯人もこの美女と察せられる。
現実離れした身体能力に加え、危険な凶器を得物に襲ってくる。その場に居合わせていた人たちが次々に殺された。
主人公も最後まで抗おうとするが、腹を深く裂けられ、致命傷を負わされる。
優美で婀娜な美女が恍惚そうに見下ろしているなか、最後に恐怖を感じたまま主人公は絶命する。
転んだ自分【驚】(エッ⁉︎ イガイ)
突如、異世界に召喚された高校生主人公。
早々、路地裏でゴロつき三人組に絡まれてたところを精霊使いの美少女に助けられる。彼女は先ほど大事な徽章を小娘に盗まれ、ここまで追いかけてきたらしい。
主人公もその小娘を目撃していたので盗人の捜査に協力する。
彼女と向かったのは盗品蔵。
しかし、ここで主人公は謎の人物に殺される。
二周目、主人公は美少女と出会う前の異世界で意識を取り戻す。まだ時間遡行してることに気づいてはいないが、路地裏で再び遭遇したゴロつきを自力で対処し、盗品蔵に向かった。
そこに現れた盗人の小娘と交渉し、徽章を手に入れようとする。
だが、そこに居合わせていた謎の美女に殺される。
三周目、主人公は目撃した例の美少女を追いかける。が、またもゴロつきと遭遇。そこでようやく『死に戻り』していることに主人公が気づく。
相手してる暇はないと、主人公が強行突破しようとする。
なぜか力が抜けて床に頽れる。後ろからゴロつきの一人にナイフで刺されたのだ。
三度の死でようやく自分が『死に戻り』していることに気付いた高校生主人公。
前の周の死は、路地裏で遭遇したゴロつき三人組の襲撃によるものだった。そして、またもその三人組と遭遇してしまう。
これで四周目。
どうやってこの連中から突破しようかとあぐねていたところ、高貴な剣士によって救われる。真摯的で親しみやすい、この異世界の王都の衛兵だ。
主人公の黒髪や服装からこの国の者ではないと剣士に見抜かれる。
なんとかごまかし、訳ありであることを察してくれた。何かあったらいつでも頼ってくれと言ってくれた。
別れた後、主人公は急いで目的地に向かう。が、そんな主人公を剣士は後ろから値踏みするように見ていたのだった。
突如、異世界に召喚された高校生主人公は、二度も謎の美女に殺されていた。
今回で四周目になる『死に戻り』。
主人公はバットエンドを回避するため、先に盗人の少女を捜していた。
少女から品を返してもらい、それを持ち主に渡せば皆んなを救えるはず。そう思い、主人公は貧民街をめぐり、少女のねぐらへ向かう。
薄暗い路地で正面から来る人影とぶつかりそうになる。
咄嗟に避けようと壁に背中を打ってしまう。
主人公に謝ってきた人影の正体は、絶望という恐怖を植え付けてきた謎の美女だった。
高校生主人公は、四周目の『死に戻り』で一人の剣士に救われていた。異世界の路地裏で絡んできたゴロつき連中を追っ払ってくれたのだ。
王都に仕える衛兵で、名の知れた人物らしい。高貴の雰囲気をまとう赤髪の青年。
邂逅も束の間、主人公は急いである人物捜しを再開した。
その人物と盗品蔵で交渉に臨んでいたところ、主人公を二度も殺した謎の美女が襲撃してくる。
覚悟を決め、自分も仲間とともに戦闘に参加する。が、事態は深刻で、主人公も深手を負わされていた。
そんなとき、屋根を貫通した炎が蔵の中央に降ってきた。
周りを静粛させた正義感漂う青年は、紅の髪をかけあげ、高らかに終息させると謳った。察するに、現れた青年は四周目で主人公を救った赤髪の剣士と思われる。
不登校を続けていた高校三年の主人公男子。
突如、彼は異世界に召喚された。そこで可憐な美少女と邂逅し、彼女の目的に協力する。
その先で二人は謎の人物に殺害される。
主人公が再び異世界で目覚め、生前の記憶を頼りに殺された場所へ一人で向かう。
そこで謎の美女に殺され、最初の場面に意識が戻る。
混乱するなか、主人公は可憐な美少女と再会する。が、主人公のことを憶えておらず、名前も偽名だったことが判明する。
彼女を追いかけた先で、毎度のゴロつきと遭遇し、油断して殺されしまう。
これで四周目。
主人公はやっと『死に戻り』していることに気づく。
可憐な美少女の目的には凄惨な悲劇が待っており、主人公はこの結末を変えようと先回りする。
問題の盗品蔵で美少女と再会するが、惨劇をもたらす例の美女も襲撃に現れる。
異世界で出会った仲間と美少女とともに、主人公も恐ろしい敵と戦闘にのぞむ。
死闘の末、満身創痍でなんとかバッドエンドを回避できた主人公は、四周目の死に戻りでついに美少女の本当の名前を教えてもらうのだった。
盗人の勾引【蟠】(キニナル)
ある異世界の王都で暮らす高身分の美少女から、小娘が徽章を盗んでいた。
その小娘は謎の美女に雇われた貧民街の盗人で、口封じに殺されかける。
王都の名高い衛兵剣士によって危機は一旦解消された。
敗した謎の美女が行方を暗ませたのだ。
小娘は盗んだ徽章を美少女に返し、一件落着……するはずだった。
件の衛兵が小娘の何か重要な特徴に気づき、尋問した。
孤児で育った小娘は、自分の名前と年齢しか分からない。
すると、衛兵剣士が真剣な面持ちで小娘を預かるという。
抵抗する小娘を気絶させた衛兵剣士は、高身分の美少女に一礼し、小娘を丁重に抱えたままその場を辞した。
【刺激された感情の種類:14種】
幸福☺️:★★
悦=困難を乗り越えた今に感謝(1)
快=顔が綻ぶほど幸せな瞬間(1)
驚度😳:★★★
驚=予想外の出来事(1)
呆=突然で呆気にとられる(1)
茫=不可解な現象を目撃する(1)
思考🤔:★★★
解=不可解が解明される(1)
察=ヒントから展開の予測がつく(2)
不幸😫:★
蟠=中途半端でまだ未解決(1)
恐怖😣:★★★★
恐=襲ってきたのが危険と解る(1)
警=警戒心を抱いてしまう(1)
怪=様子に違和感を覚える(1)
虞=悪い事が予測できる事実を知る(1)
攻撃👊:★
笑=想定外な事象が滑稽すぎる(1)
乗気🤩:★
奮=対戦相手と重大な戦闘が始まる(1)
全体を通してのプロット
【人物・世界観の説明】
突然、異世界に召喚された主人公——ナツキ・スバルは、ゴロつきに絡まれてたところ、猫精霊を使役する謎の美少女に助けられる。その恩を返すため、大事な徽章が盗まれたという美少女の犯人探しに協力する。
美少女と共に盗品蔵へやってきたスバルは、交渉材料を持って屋内に入っていく。
【物語が始まる起点・問題】
盗品蔵で何者かの奇襲を受けたスバルが絶命する。
【発生した問題への対処】
ふたたび異世界で意識を取り戻したスバルは、美少女と猫精霊の安否を確かめに盗品蔵へふたたび目指す。
【問題の広がり・深刻化・窮地】
見覚えのあるゴロつきにまた絡まれる。
盗品蔵で巨体の主と知り合い、美少女から徽章を盗んだ本人——フェルトと出会う。
盗品蔵に、フェルトを雇っていた謎の美女——エルザが来訪してくる。
エルザに殺されたスバルが、ふたたび異世界で意識をもどす。
スバルは、自分が異世界で『死に戻り』していることに気づく。
【人物の葛藤・苦しみ】
知り合った人物達がエルザに殺される未来を変えるため、スバルは、自分の所持品を徽章との交換材料にフェルト捜しを優先する。
【問題解決に向かう最後の決意】
避けられないエルザとの戦闘に、非力なスバルも全身全霊で立ち向かう。
【問題解決への行動】
スバルの助力で修羅場と化した盗品蔵から逃してもらったフェルトが、王都の著名な凄腕衛兵をつれてくる。
読了した感想
◆スバルの特性が読みやすさに一役買ってる!
さすが人気ランキング上位に立つラノベ作品。その一つに、『読みやすさ』が挙げられるのではないでしょうか。
ほぼ八割くらいがセリフなのです。地の文の少なさに驚き。状況や感情が分かるような無駄のないセリフが素晴らしすぎました。
なんでこんなにセリフが多いのかというと、主人公のスバルがめちゃくちゃ陽気で姦しい性格だからでしょう。とにかく色んな人物に分け隔てなく話しかけるから、セリフの応答が返ってくる。そのやり取りで読み手に状況を理解させる技術が上手いなぁと感じました。
◆ミステリアスなエルザが恐ろしい!
遭遇したら絶命確定のホラーゲームばりに恐かった。
いったい彼女は何者なんでしょう?
どうしてあんなに強いのか?
悠然とした優しい雰囲気に惑わされそうになりますが、大胆でサディスティックなサイコという危険な本性は恐怖そのもの。
イラストで描かれてる妖艶な彼女の姿を見ると、FF8のイデアを彷彿とさせます。いかにも魔女っぽい風体ですが、魔法ではなく、ククリナイフを扱うっていうのが意外で面白い。
◆この物語の着地点はどこにあるのか?
スバルが異世界に召喚された目的は不明。そして、スバルもなぜかその状況を受け入れ、元の世界に戻ろうとする姿勢も見られない。
邂逅した銀髪の美少女に一目惚れしたがために、煉獄のような苦罰をなんども体験させられます。
これは、死んだスバルが天国にいくための浄化儀式みたいな物語ですね。元いた世界で死んだのかどうかも不明ですが。
『Re:ゼロから始める異世界生活 1』
長月 達平 (著), 大塚 真一郎 (イラスト)
KADOKAWA
2014年4月24日
全282ページ
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