
型破りな令嬢達×凄腕の騎士達×強情なスバル!
屋敷での『死のループ』に打ち勝ち、やっと平穏な日々を取り戻したスバル。束の間の安息を過ごすスバルだったが、王選の使者の来訪により、エミリアと同行して再び始まりの地である王都へと舞い戻ることに。王都で別れた人々との旧交を温めながら王選へのやる気を燃やすスバル。だがエミリアは頑なにそんなスバルの協力を拒む。すれ違いの感情は摩擦を生み、王都で新たに出会った人々をも巻き込んで、エミリアへの想いを胸に、奔走するスバルだったが――!? 「エミリアの隣に騎士がいるなら、俺がそれをやる。俺がエミリアを王にする!」 大人気WEB小説、新章開始! 届かぬ想いと足りない言葉、そしてスバルは――。
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◆登場人物
ナツキ・スバル(17)……突如、異世界に召喚された高校生
エミリア……ルグニカ王国四十二代目の『王候補』の一人
パック……エミリアと契約してる猫の姿をした大精霊
ロズワール・L・メイザース……奇抜な衣装とピエロ風メイクの貴族
ラム……ロズワール邸の双子メイド(姉)。ぺったん
レム……ロズワール邸の双子メイド(妹)。家事全般が得意
ベアトリス……禁書庫の司書
ラインハルト・ヴァン・アストレア……『剣聖』と呼ばれる騎士の中の騎士
ロム爺……盗品窟の主
フェルト(15)……王都の貧民街育ちの盗人少女
カドモン……厳つい商売人
クルシュ・カルステン……カルステン公爵家当主で男装の麗人。騎士はフェリス
フェリス……ロズワール邸を訪れた王都からの使者。ネコミミ
ヴィルヘルム……フェリスと共にロズワール邸を訪れた竜車の御者
プリシラ・バーリエル……スバルが王都で出会った少女。豪華な衣服と尊大な態度が特徴的。騎士はアル
アル……漆黒のフルヘルムに山賊のような奇抜なファッションに身を包む男
アナスタシア・ホーシン……カララギの一大勢力、キーシン商会の会長。騎士はユリウス
ユリウス・ユークリウス……ルグニカ王国近衛騎士団所属の騎士。『最優の騎士』
エルザ・グランヒルテ……艶めいた雰囲気をまとう美女
◆あらすじ
アーラム村で起きた魔獣騒動を解決したことで、スバルはロズワール邸での死のループから脱していた。
ある日、屋敷に使いの者——ネコミミの女性が王選に関することで訪ねてくる。
エミリアとロズワールにお呼び出しがかかり、話し合いに参加させてもらえなかったスバルも王都への動向を条件付きで許してもらう。魔力で消耗したスバルの体を、王都に居る専門の治癒術師に治療してもらうこと。
その前に、スバルはエミリアの監視付きで知り合いを当たっていく。ロム爺とフェルトの所在を聞きに、ラインハルトの居る衛兵の詰め所を訪ね、門前でスバルの天敵と邂逅する。
エミリアから外で待つよう命じられたスバルは、貴族街の路地で輩どもに絡まれていたドレスの少女を目撃した。偶然にも、スバルが助けたその尊大な少女も王選候補の一人。
翌日、王城に出向くエミリアから頑なに同行を断られたスバルは、彼女の言いつけを破り、レムの恋慕を利用して宿を抜け出した。
王城への侵入方法にあぐねていたスバルの前に、昨夜の尊大な少女が現れる。気まぐれな彼女の計らいにより、スバルは少女の豪華な竜車に同乗し、王選候補者が集まる王城へと足を運ぶのだった。
ルグニカ王国の王位継承選抜戦が始まろうとしている。
王位を争うのは、どれも型破りな五人の美少女達。
そこにスバルが首を突っ込む隙はあるのかいなや。
【目次】
プロローグ 愚か者の意地
第一章 再来の王都
第二章 加護と再会と約束と
第三章 仲の悪すぎる面子
第四章 王の候補者と、その騎士たち
第五章 自称騎士、ナツキ・スバル
エピローグ 騎士たちの思惑
全308ページ
【感情トリガー】
プロローグ 愚か者の意地
第一章 再来の王都
├平静の玉砕【呆】(ッ⁉︎——)
└意味深な言【察】(マサカ…)
第二章 加護と再会と約束と
├約束果たす【恩】(ヤサシイ)
├体を蝕む毒【悶】(イイトコダッタノニ)
└じゃんけん【知】(ヘェ~)
第三章 仲の悪すぎる面子
├隻腕の騎士【訝/仮】(ハ?/モシカシテ)
└五人目の人【察】(マサカ…)
第四章 王の候補者と、その騎士たち
第五章 自称騎士、ナツキ・スバル
エピローグ 騎士たちの思惑
異世界に召喚された主人公男子は、王都の女王候補であるエルフの美少女を助けていた。その功績を讃えられ、彼はエルフの住むお屋敷の使用人として居座ることにした。
近くの村に外出していた主人公とエルフが帰ってくると、屋敷の前で馬車ならぬ竜車が止まっている。言伝を頼まれていた使者が、エルフの帰りを待っているとのこと。
エルフは屋敷のメイドに案内されて、使者の下へと足を運んでいった。
主人公は蚊帳の外となり、ロマンス・グレーの御者と世間話に花を咲かせる。
用を終えた使者が竜車のほうへ戻ってくる。
この異世界に来て初めてみるネコミミの少女だった。
呆然と見つめていた主人公の近くに、ネコミミ少女が近づいてくる。
間近で矯めつ眇めつ眺められ、思わず小さく喘ぎ声を洩らしてしまう。
耳を甘噛みされたのだ。
突如、異世界に召喚された主人公男子。
仲間になったメイドの少女から『魔女の匂い』がすると言われていた。
この世界では忌み嫌われる存在の魔女。
なぜ主人公から魔女の匂いがするのか不明だが、『死に戻り』の能力となんらかの関係があるのかもしれない。
死ぬと、ある地点に時間遡行してやり直しが出来る不思議な力。ただ、その力を明かそうとすると時間が静止し、恐ろしい苦痛を伴うことになる。
主人公が居座ってる屋敷に来客が現れた。
細身のスタイル良いネコミミの少女で使いの者。
大胆不敵な様子で主人公を矯めつ眇めつ眺めたあと、彼女は意味深な言葉を彼に言っていた。
「何も聞かされてないみたい」「体のこと」「取引のこと」
何も教えてくれず、彼女は御者付きの竜車で去っていった。
帰路につくネコミミ少女は、御者の老人を揶揄いつつも主人公の話題を持ちかけていた。
そして、また意味深な発言を洩らしていたのだ。
「『魔女』に魅入られるのは不吉」と。
察するに、ネコミミ少女は主人公から漂う魔女の匂いに気づいていると思われる。魔女についても、何か情報を持っているのは間違いない。
なぜか異世界に召喚された主人公男子。
彼は一ヶ月前程、王都の果物屋の店主とある約束を交わしていた。
主人公が異世界で会話した初めての人物である。
厳つい顔をした恰幅いい店主から果物を勧められるも、無一文と知るや、ぞんざいな対応をされていた。
そんな店主と『死に戻り』で何度も会っているのだが、当然、彼は憶えていない。
四週目のとき、無一文であるにも関わらず、あの店主が捜し人に関する情報を親切に教えてくれた。
恩をもらった主人公は、次来るときは果物を買うよと約束を交わした。
一ヶ月後にふたたび王都の果物屋を訪れた。
人の足下みて態度変える性格の悪さは今も健在であったが、主人公のことを憶えていてくれた。
憎まれ口を言い合いながらも約束を果たし、笑顔で別れる。
帰路の途中で主人公は気づいた。
購入した数より果物が一つ多く入っていることに。
店主なりの感謝のしるしに主人公の顔が明るくなった。
17の青年男子は女王候補である精霊使いの少女に恋をしていた。
彼は屋敷の使用人という立場であるため、王選に関わる重大な対談では蚊帳の外。
彼女の力になって支えてあげたいという願いは届かない。
さりげなく彼女にどんな内容なのか探ってみても、頑なに教えてはくれなかった。
少女を父親のような目線で守護している精霊が語りかけてきた。
自分たちを期待させないでくれと言っている。
希望はやさしい毒。君はまさしく毒であると。
意味が解らず、青年は訊ねた。
そこで少女が割り込み、精霊との会話が遮断される。
主人公男子は、路地裏で出会った傲慢が少女とある賭けをしていた。
負ければ主人公が持っている果物を一つ奪われる。
勝てば、彼女の豊満な胸を触ることができる。
身ぐるみを剥がされそうになっていた主人公は、じゃんけんを提案した。
ルールを初めてしった彼女は、即座に飲み込み、事前にパーを出すと宣言する。
相手のペースに流されるまま、考える間もなくじゃんけんが始まった。
彼女は宣言通りパーを出し、主人公はグーを。
敗北。
咄嗟にじゃんけんを仕掛けられると、人はグーを出しやすいという統計が出ているらしい。
普通のじゃんけん(グーから始まらない)を調査した結果、
グーは35.0%、 チョキは31.7%、 パーは33.3%
※日本じゃんけん協会
不登校で家に引きこもりだった高校生男子は、突如、異世界に召喚された。
いかにもファンタジーな中世ヨーロッパ風の建物が見られる王都の街で、ハーフエルフの美少女と邂逅したことから彼の過酷な物語が始まっていた。
現在、美少女の住まう屋敷の使用人として居座っていた主人公は、重要な用事で外出するという彼女に同行していく。
次代王を選抜するための召集。
ハーフエルフの美少女は、その候補の一人であった。
他にも王候補である貴族たちと知り合うなか、ある令嬢の専属騎士の男が主人公に親しげだった。
初対面であるはずなのに、『兄弟』と愛称で呼んでくる軽薄そうな騎士。
片腕が失い理由を不躾と知りながら敢然と主人公が尋ねると、意外にも彼は快く承諾してくれた。
そのときの騎士の発言に聞き捨てならないワードが含まれていた。
「異世界の洗礼」と。
怪訝がっている主人公をみて、騎士は呆れたようす。
まだ気づいてないのかと。
/
もしかして、この騎士は主人公と同じく、他の世界から召喚された人物なのかもしれない。
異世界の王城に四人の巫女が集まっていた。
今、この王なき王都に危機が訪れている。
あらゆる災いからこの国を護ってくれている竜との盟約。
病で王家が途絶えたことにより、盟約が破られる。
それを回避するには予言に従うしかない。
ドラゴンとの意思疎通ができる五人の巫女から、国を担う王を選ぶこと。
巫女が一人欠けているなか、代表の騎士が宣言した。
五人目の巫女を見つけたと。
その騎士は、以前、貧民街の盗人少女を理由も述べず、丁重に連れ去っていた。
その後、少女の消息は不明。
察するに、騎士が見つけたという五人目の巫女は、あの盗人の少女なのでは。
【刺激された感情の種類:7種】
幸福☺️:★
恩=情けを頂いたと感づる(1)
驚度😳:★
呆=突然で呆気にとられる(1)
思考🤔:★★★★★
知=豆知識を教えてくれる(1)
訝=疑問を抱かせる言動や描写(1)
察=ヒントから展開の予測がつく(2)
仮=知り得た情報からある仮説が立つ(1)
不幸😫:★
悶=期待が何かに阻まれる(1)
全体を通してのプロット
【人物・世界観の説明】
引きこもりだった高校生——ナツキ・スバルは、コンビニから帰路についていたところ、突つと異世界の街に召喚された。
王都の街でハーフエルフの美少女と邂逅したスバルは、彼女から徽章を盗んだ小娘——フェルトの捜索に協力し、道中殺された。
『死に戻り』で再び異世界に目覚めたスバルは、自分の能力を繰り返すことによって、徽章を狙っていた腸狩りのエルザとの死闘から生還した。
エルザは、助けに現れた『剣聖』の騎士——ラインハルトによって敗れた。
徽章の奪還と、ハーフエルフの名前を聞き出すことに成功し、スバルは彼女の後援者であるロズワール辺境伯の屋敷に、使用人として居座った。
スバルが居るルグニカ王国では、王の血族が病で絶たれたため、王候補から王を選ぶ選抜戦が近々行われるという。
ハーフエルフの美少女——エミリアもその候補の一人。徽章がそれを証明する。
エミリアの王選参加を邪魔してきたエルザは消息不明だが、謎の襲撃犯がロズワール辺境伯の屋敷を襲った。
『死に戻り』の悪夢が再びスバルを苦しめた。
スバルは、メイドの双子姉妹のラムとレム、司書のベアトリス、魔導士のロズワールの力を借りて、魔獣の殲滅に成功。『死に戻り』からも離脱していた。
【物語が始まる起点・問題】
ロズワール辺境伯の屋敷に、カルステン公爵家の使者——フェリスが王選絡みで訪ねてくる。
エミリアとロズワールが、王選の集会に呼ばれる。
【発生した問題への対処】
スバルも条件付きでエミリア達に同行して王都に足を運ぶ。
【問題の広がり・深刻化・窮地】
王都の貴族街で王選に関わる要人達と出会っていく。
スバルもある要人に付き添って王選の集会に参加する。
王城の集会の場で、スバルは自分をエミリアの騎士と軽々しく表明したことから、近衛騎士団の怒りに触れてしまう。
エミリアへの執着が仇となり、スバルは彼女から拒絶され、会場から強制退室させられる。
【人物の葛藤・苦しみ】
スバルの控室に現れた近衛騎士の一人——ユリウスに呼び出され、スバルは力に雲泥の差がある彼と模擬戦で戦い、自分の非力さを痛感する。
【問題解決に向かう最後の決意】
王都への同行を許したエミリアの厚意を無視し、スバルはユリウスに一矢報いようと模擬戦で奥の手を使おうとする。
【問題解決への行動】
スバルはエミリアに愛想を尽かされ、王都に一人残される。
読了した感想
◆憐れで無様なスバルの姿が切ない
まるで飼い主から離れたくない子犬も同然で、吠えまくれば何とか翻意してくれると利己的な願いが一貫しておりました。
相手の意思も尊重せず、ただ自分の想いだけを一方的に押し付ける。
全ては君のため。君が好きだから。君を愛してるから。
独りよがりなストーカーと変わりません。
ついには、可憐なエミリアに愛想を尽かされる始末。
なんとも憐れ。
ただ、スバルにとってのエミリアは、知ってる人が誰もいないこの異世界で生きていくための必要な目的。彼女を失うということは、生きる目的も失うということ。
そう推察すると、スバルの身勝手な行動にも共感はできます。
一人、除け者にされてる感じの不安と焦り。
自分から遠い存在になっていくことへの虞れ。
孤独への恐怖。
エミリアは、その恐怖を忘れさせてくれた唯一の女の子です。
生きる希望という大きな恩を頂いていたのだから、無茶をするなと言われても無理に決まってる。
でも、スバルは本当のことを明かせれない。
元いた世界や『死に戻り』について……。
なんとも切ない。
◆王選候補者と側近の騎士がどれも個性的!
スバルが貴族街で出遇った尊大な美少女——プリシラ。
性格的にはベアトリスと類似していますが、プリシラは、一人称を『妾』で語ります。大きなお胸も特徴で、アニメ版ではカットされていますが、プリシラの胸にお触りできる報酬に釣られ、スバルがリンガを賭けてジャンケン勝負するシーンは必見。
そんな彼女の騎士を務めるのが兜の男——アル。
どこか飄々としていて、軽薄そうなのがセリフから読み取れます。
なんと、彼も異性界召喚者。
スバルのことを「兄弟」と呼ぶ彼が召喚されたのは、十八年前とのこと。スバルと同じ年頃のときに。おそらく三十五歳くらい。
ここで仮説が立ちます。
アルにも召喚者特有のスキルがあるのかも。
そして、召喚者は元いた世界に二度と帰れない。
スバルも『無職転生』のように、ずっと異世界で生きていくのでしょうか。
閑話休題。
続きまして王城に集まった他の候補者たちを紹介しましょう。
ロシア風ハットから長い紫ヘアーを覗かせている矮躯な少女——アナスタシア。大阪弁を使う彼女は、せっかちであざとい感じが漂っています。
そんな彼女の一の騎士が、スバルの天敵——ユリウス。
エミリアに蜜の言葉を垂らし、彼女の手の甲にキスをしてきた気障な男。
お次は、軍服に身を包んだ緑髪の凛然とした少女——クルシュ。悠然と構えていて女っ気がありません。
対して彼女の一の騎士が、ネコミミのフェリス。ロズワール邸に来訪してきた女性……もとい男性であります。体は細く長身で、いたずら好きな性格が顔に出ています。スバルの言う通り、誰得だよってキャラ。
最後は盗人フェルトと、エルザを退けた騎士ラインハルトでありますが、一巻に登場していますので割愛。
『Re:ゼロから始める異世界生活 4』
長月 達平 (著), 大塚 真一郎 (イラスト)
KADOKAWA
2014年7月25日
全308ページ
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