前編のストーリー
スマホを駆使した詐欺や暴行、殺人を繰り返してきた「怪物」の正体とは。黒髪の女性ばかりを凄惨な方法で殺害した連続殺人鬼が生まれるまでの物語。
引用元:U-NEXT
孤児で養護施設育ちの佐藤翔太は、
13歳の時、非情なヨシハルと邂逅する。
マザコンで黒髪女に溺れる憐れな翔太が、
ヨシハルの悪計で危うくなっていく譚。
◆登場人物
佐藤翔太……悲惨な幼少期を送っていた男
ヨシハル……??
宮本まゆ……翔太のお気に入りの嬢
M……暗躍するハッカー
池上聡子……元銀座の美人ホステス
『スマホを落としただけなのに 連続殺人鬼の誕生』
志駕晃(著)
宝島社
2023年8月4日発売
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詳しくは——
感情トリガーとあらすじ、場面
※:本ページの情報は2023年8月時点のものです。
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【感情のトリガー↓】0~202P(スマホ)
①虚と邂逅【推・疑・哀】
②衝迫行動【悲・諦】
③眼中之釘【酷・謎】
【トリガーの内訳】
①虚と邂逅(シリアルキラーになる起点と出会う)
├翔太の復讐【推】(マテヨ…)
├男の子の声【疑】(マチガイナク…)
└猫への慈悲【哀】(カワイソウニ)
②衝迫行動(犯人の道楽が止まらない)
├沈黙の回答【悲】(ナンテコッタ!)
└犯人の妙案【諦】(オテアゲ)
③眼中之釘(邪魔な存在を排除しようとする)
├更生への道【酷】(ヒドッ!)
└母親の残高【謎】(ナゾ)
【刺激された感情の種類:7種】
驚度:★
酷=情け容赦ない悪魔的な行動(1)
思考:★★★★
諦=その道に希望はない(1)
推=謎を解く仮説を考察する(1)
謎=行動や現象に不可解を残す(1)
疑=不審な様子や証拠で疑う(1)
不幸:★★
哀=予期した不幸に心苦しい(1)
悲=悪くなった状況を認知する(1)
①虚と邂逅【推・疑・哀】
あらすじ——
小学3年生の佐藤翔太は、
ある日、母を失い、養護施設に送られた。
翔太の復讐を手伝っていた謎の男は、
夜の嬢に報われない選択を強要する。
闇サイトで関わるMに相談していた謎の男は、
隠蔽方法を教えてもらい、それを実行した。
が、Mに個人情報を抜かれていたことを知り、
謎の男も負けじと一杯食わせようとする。
その度胸を認められてなのか、
謎の男は、Mに呼び出されるのだった。
❶翔太の復讐【推】
翔太の好みだった嬢を隠れ家に拘束し、
誰かが残酷な選択を彼女に迫っていた場面。
郊外に借りた隠れ家てきな家の中。
まゆは翔太のお気に入りのデリヘル嬢だった。
《前掲書、 P.10~11》※スマホで閲覧してます
不細工のくせに翔太を騙して大金を巻き上げた最低の女だ。
(中略)
翔太の復讐をするため、店のサーバーに潜入し、まゆの個人情報を調べ上げた。
——まてよ……(推)
普通、この流れだと犯人は翔太だよね?
女性を家に閉じ込めている人物です。
なのに、翔太の復讐と地の文で言っている。
小タイトルが『俺』だったんで、
てっきり本人だと思ってたけど……
違うのか?
それとも多重人格?
俺という一人称でも、男とは限らない。
犯人が女の可能性もあるけれど、
本の内容紹介から察するに、翔太自身なのかも。
やはり、別の人格によるものが濃厚だろう。
シリーズを読んでないから分からないな。
❷男の子の声【疑】
養護施設に入って4年経った中学の翔太が、
施設の庭で蟻を踏み潰すのに耽っていると、
どこか近くから男の声が聞こえてきた場面。
児童養護施設の庭。
「漢字はないんだ。カタカナでヨシハル。翔太、今日は眠くならないんだね」
《前掲書、 P.49》
不思議なことに、ヨシハルは僕の名前を知っていた。
(中略)
「俺は翔太と同じ体の中にいるんだ。翔太、二重人格って聞いたことある?」
——間違いなく……(疑)
やっぱり、解離性同一症でしたね。
夜の嬢を拘束していたのは、彼の仕業でしょう。
ヨシハルという別人格の男。
多重人格って、なんか惹かれるんですよねえ。
出現した人格って、誰が命名した名前なのか?
自分で勝手にそう名乗っているだけなのか?
人格って、何人まで保有することができるのか?
ある記事によりますと、
最大2500人の人格の保有者がおりました。
実話らしいから驚きですよね?
おなじ躰を共有しているのに、
年齢、容姿、性格までも異なるようです。
人間の脳って、ホント、ミステリー。
❸猫への慈悲【哀】
お店で売れ残っていたユニークな子猫に、
保健所で殺処分される運命が待っていた。
店員に話をつけていたヨシハルがそれを買い、
翔太の許しもなく慈悲を与えようとする場面。
場所が不明。
どこか人目のつかない茂みの中かも。
「翔太、ギロチンって知ってる?」
《前掲書、 P.63》
(中略)
「上から思いっきり叩けば、ギロチンのようにすとんと首が落ちるはず。ブス猫ちゃん、動かないでね。下手に動くと痛くなるよ」
(後略)
——かわいそうに。(哀)
買う目的は察していたけど、これは残酷だ。
(後略)の部分が一番ひどい。
なんの罪悪感も抱いてなさそうだし……。
そもそも慈悲なんて概念があるのかも不明だ。
脳に異常が起きているのかもしれません。
モノアミン酸化酵素A遺伝子に。
異常があると犯罪を起こしやすいんだとか。
特に幼少期時代の虐待などが組み合わさると。
示唆されただけで、本当かどうかは不明。
動物が大好きな方は、ご注意を。
ショッキングな描写がありますんで。
②衝迫行動【悲・諦】
あらすじ——
『俺』は『M』の自宅を調べ上げ、
隠された莫大な資産を探していた。
そんな折り、『M』の愛人が嗅ぎつけ、
『俺』の偽装がバレそうになる。
『M』と同じように愛人を対処したあと、
『俺』は役所に赴き、提出するのだった。
ある人物の死亡届出を……。
❶沈黙の回答【悲】
浦井光治の愛人が連絡つかない彼を案じ、
警察に相談しようとしていた。
浦井に成りすましていたヨシハルは、
愛人の聡子を眠らせ、浦井宅に連れ込み、
彼から身を引くよう説得していた場面。
大田区にあるマンションの一室。
浦井(M)が偽名で借りている部屋。
「それは噓よね。だって光治さんのスマホはずっと日本にあるのだから」
《前掲書、 P.118~120》
(中略)
すぐに否定をすればよかったのだが、俺は答えに窮してしまい、その沈黙が聡子への回答になってしまった。
「殺したのは、あなたね」
——なんてこった!(悲)
名前の通り、聡い子じゃありませんか。
元銀座のクラブにいた20代半ばの黒髪美女。
やたら執拗に心配してくると思ったら、
そういうことだったんですね。
しかし、ヨシハルと会ったのは悪手です。
誰か背後に尾けさせて置かないと。
二人きりの閉鎖的な空間で、
あんたが犯人と言うのも悪手。
口封じされる展開が想像つくでしょう。
警察に行かれたら終わりだから。
ところで——、
本当にヨシハルなんですかね?
翔太が騙っているだけかもしれない。
多重人格は嘘だったか、
それを利用している可能性もあります。
今のところ、
『俺』編で翔太が出てきてないですからね。
叙述トリックの匂いを感じます。
❷犯人の妙案【諦】
犠牲者たちに成りすまし、
失踪を悟られないように対処した『俺』は、
ある心配事を一つ抱えていた。
少年院のころの指紋データ。
なんらかの形で採取された場合、
佐藤翔太が犯人だと警察に割れてしまう。
そこで、案が思いついた『俺』が、
役所で、ある手続きをしていた場面。
区役所。
死亡した本人の欄に佐藤翔太の名前と住所などを書き、さらに佐藤翔太の遺体が発見されていないこと、その後一度も姿を現していないこと、そして銀行口座の残高が減っていないことを書き込んだ。
《前掲書、 P.136~137》
(後略)
——いや、おてあげ。(諦)
翔太を死んだことにしても無駄だよね?
犠牲者の家族が失踪に気づくだろうし、
最近の犯人のDNAや指紋が採取されれば、
翔太が生きているという証拠になる。
じゃ、誰が彼の死亡届けをだしたのか?
ってなったら、浦井——
つまり、今のヨシハルに行き着くでしょ。
ヨシハルは被害者のスマホを所持してるから、
基地局に調べられれば場所が特定される。
また、
浦井(M)にハンキングで抜き取られた——
ヨシハルの記録は回収できていない。
嬢を穴に埋めるというやり取りが、
そこで明らかになることでしょう。
そして、Nシステムがある。
山中に人を隠すには車が必要です。
郊外に出向くにしても、
必ず車体番号と運転手をカメラが記録する。
ってことで、
バッドエンドが見えちゃっております。
何かの工事で土を掘り返されても終わり。
浦井のお金も引き出してましたからね。
痕跡を消すのは、とても難しい。
ご愁傷様です。
③眼中之釘【酷・謎】
あらすじ——
ハッカー『M』の資産で豪遊していた『俺』。
眠っていた翔太が新たなママの代役を見つけ、
その女にどんどんお金を溶かしていた。
『俺』はクリニックを訪れ、
翔太をずっと眠らせるヒントを心得する。
クラブの嬢を呼び出していた『俺』は、
翔太を装って郊外に家に連れこむのだった。
❶更生への道【酷】
一カ月、別人格が現れなくなったことで、
翔太は医療少年院を晴れて卒業した。
が、今度は特別少年院に移されるのだった。
そこで、新たな環境に放り込まれた翔太が、
体力限界まで鬼教官に追いこまれる場面。
特別少年院のグラウンド。
すぐに息が上がり足が鉛のように重くなる。一〇周も走れば終わると思っていたけど甘かった。二〇周、三〇周しても終わる気配はなく、途中で数えるのを止めてしまった。
《前掲書、 P.147~151》
(中略)
「こら翔太。いつまで休んでいるつもりだ。吐くもの吐いたらもう出てこないんだから大丈夫だ。次は腹筋をやるぞ」
(後略)
——ひどっ!(酷)
いや、これ、みんな倒れるでしょ!
本当に、こんな厳しい訓練をするの?
軍人用プログラムの間違いでは?
更生という名の拷問ですな、こりゃ。
ヨシハル、なんで現れなくなったんだろう?
やはり、全て翔太の演技だったのだろうか?
そこが謎ですよね。
ヨシハルは敢えて引っ込んでいるのか?
なるべく、早く、少年院から出るために。
■少年院とは
》矯正教育を施し、社会復帰させるのが目的。
■少年院には5種類がある(現行法)
①第一種少年院(初等少年院と中等少年院に相当)
》概ね12歳〜23歳未満。
(心身に問題がない)
②第二種少年院(特別少年院に相当)
》概ね12歳〜26歳未満。
》犯罪的傾向が進んだ者。
(心身に問題がない)
③第三種少年院(医療少年院に相当)
》概ね12歳〜26歳未満。
》心身に問題がある
④第四種少年院
》刑の執行を受ける者。
(14歳以上から刑罰適用)
⑤第五種少年院
》特定少年。
(18・19歳)
(2年保護観察執行を受けてる)
(遵守事項を違反してる)
❷母親の残高【謎】
佐藤翔太は、16歳で少年院を卒業した。
養護施設にもどった彼は、
将来のことで葛藤に悩まされていた。
2年後には、施設を出なくてはいけない。
生活を送るには就職して金を稼ぐ必要がある
だが、大学を出ないと就職は困難。
加え、学費を納める余裕はない。
そんな時、
翔太は母の少額のキャッシュを見つけ、
生活の足しに引き出そうとしていた場面。
銀行内窓口。
驚いたことに、口座には六〇〇万円以上の残高があった。それだけの金があれば、大学の授業料を支払ってもおつりがくる。
《前掲書、 P.179》
(中略)
記帳をしてもらって履歴を見ると、チバナオキという人物から毎月一日に六万円が入金されていた。
——なぞ。(謎)
翔太の実の父親か?
養育費として6万円を振り込んでいた?
8年以上も前からということだよね。
翔太が8歳か9歳のときか。
ん?
翔太の母親が亡くなった時期と一緒だ。
なぜ、そのタイミングで?
チバナオキの存在が気になりますな。
にしても、ラッキーでしたね。
大学へ進んじゃうのかな?
大検も取っていますから。
感想(前半)
◆リアクションが隠されて悶々とする
『僕』——佐藤翔太。
『俺』——ヨシハル。
二人の視点のカットバックが甚しい。
こんなにころころ変わるの初めてです。
中途半端な区切り方をされるもんだから、
主人公の感情・反応が不明なんですよね。
焦っているのかとか、喜んでいるのかとか、
分からないから親近感もいだけない。
敢えてそうしているのかも。
凶悪犯ですねからね。
でも、やっぱりリアクションが見たいな。
◆どんなどんでん返しが待っているのか
ここですよねぇ、期待するのは。
ヨシハルは、翔太を目障りと感じています。
彼は人格の統合を検討するんだけど、
主人格を消すのは無理らしい。
消せば、副人格も消滅するようです。
ヨシハルも消えちゃうってことですね。
だから、眠ってもらうしかありません。
なるべく、長く。
翔太に大きなショックを与えるため、
ママ似の黒髪女性を次々と襲っていく。
ここで、前編は終了。
後編で二人の関係はどうなっちゃうのか?
今のところ、ヨシハルだけですが、
まだ、隠れた人格を秘めているかもしれない。
多重人格による争いが待っているのかも。
逮捕された場合、どうなるんでしょうね。
責任能力を翔太に問うことができるのか?
精神病棟に飛ばされそうなイメージですけど。
では、またお会いしましょう。
後半の感情トリガーと感想
【感情のトリガー↓】202~404P(スマホ)
①籠絡者達【驚・推】
②興と蟠り【ー】
③眠る二人【驚】
【トリガーの内訳】
①籠絡者達(搾取する側とされる側)
├真後ろの車【驚】(エッ⁉︎ イガイ)
└銀行の残高【推】(マテヨ…)
②興と蟠り(黒髪女への興と実父への蟠り)
③眠る二人(絶望を見た者同士が眠りにつく)
└嬢の源氏名【驚】(エッ⁉︎ イガイ)
【刺激された感情の種類:2種】
驚度:★★
驚=予想外の出来事(2)
思考:★
推=謎を解く仮説を考察する(1)
【感想】
いや〜、難解すぎた。
『俺』と『僕』のカットバックがすごい。
最初から最後まで一貫しておりました。
中途半端に区切るのは相変わらず。
時系列や『俺』の年齢は暗喩で分かりづらい。
2016年なのか、2017年なのかとかね。
分かりづらい=面白くないですからね。
これは奥深い美学の作品ということです。
やっぱ、シリーズ読んでないとダメなのかな。
物語らしい譚じゃなかったんですよねえ。
問題が発生して、目的ができ、
解決に向かうという流れてきな。
でも、豆知識が手に入ってよかった。
例えば、綺麗な髪を保つ知識や、
少年院の様子だったりね。
『スマホを落としただけなのに 連続殺人鬼の誕生』
志駕晃(著)
宝島社
2023年8月4日発売
想像力を鍛えて脳内映像化マスターへ!
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