前半のストーリー
札幌市近郊の町、荏原市で発生した女子大生殺人事件。遺体の首と両手は切断されて持ち去られ、現場にはフランツ・カフカの『変身』の一節が残されていた。(中略)連続殺人鬼グレゴール・キラーは何故、現場に『変身』の一節を残すのか。被害者の共通点は何なのか。それらの謎を解き明かし、猟奇殺人犯へと迫る加地谷と浅羽が目にする事件の真相とは……。そして、謎の古書が導く物語は、さらなる事件とともに下巻へと続く。猟奇事件×スーパーナチュラルミステリー第一弾!
UNEXT
道内で発生したグレゴール・キラーが、
5年後、再び猟奇な活動をし始める。
過去の因縁にケリをつけるため、
猪突型の刑事が新米と捜査していく。
◆登場人物
加地谷悟朗……頑固で口が悪い猛攻型の刑事
浅羽賢介……好色でオカルト好きの加地谷の相棒刑事
天野伶佳……本部から赴任してきた分析室所属の女刑事
戸倉孝一……荏原市に引っ越してきた青年
戸倉依子……孝一の従姉妹
白川葵……カフェで働くアルバイトの大学生
『バベルの古書 猟奇犯罪プロファイル Book1《変身》』
阿泉来堂(著)
KADOKAWA
2023年10月24日発売
購入金額の最大40%が、
32日後にポイントで還元されます!
※U-NEXTポイントの消費分は対象外
詳しくは——
感情トリガーとあらすじ、場面
※:本ページの情報は2023年10月時点のものです。
最新の配信状況はU–NEXTサイトにてご確認ください。
【感情のトリガー↓】0~230P(スマホ)
①切断キラー【悲・察】
②事件の真贋【ー】
③慟哭の嘆き【察・煩・呆・切】
【トリガーの内訳】
①切断キラー(女子大生殺人事件の捜査が始まる)
├絶望の選択【悲】(ナンテコッタ!)
└ネコババ漢【察】(マサカ…)
②事件の真贋(連続殺人の模倣と本物を見分ける)
③慟哭の嘆き(霊視能力のある青年に不幸が訪れる)
├同居する謎【察】(マサカ…)
├下衆の来館【煩】(ア~イライラ)
├夜の訪問者【呆】(ッ⁉︎——)
└去る片想い【切】(セツナイ)
【刺激された感情の種類:5種】
驚度:★
呆=突然で呆気にとられる(1)
思考:★★
察=ヒントから展開の予測がつく(2)
不幸:★★
切=救ってあげれない心苦しさ(1)
悲=悪くなった状況を認知する(1)
攻撃:★
煩=鬱陶しくて邪魔くさい(1)
①切断キラー【悲・察】
あらすじ——
逃走中の連続殺人犯を追っていた加地谷刑事は、
深夜の繁華街を過ぎた廃墟ビルで気を失い、
目を覚ましたときには、拘束されていた。
ビル内の闇中で人の気配を感じた加地谷は、
椅子に拘束されている相棒の垣内を発見する。
瀕死状態だったオイル塗れの垣内に、
潜んでいた犯人が加地谷に惨劇を見せつける。
※
従姉妹の依子とアパートに越してきた青年——
戸倉孝一は、就職先の木工制作所を訪れる。
同じ職場の先輩である従業員の窃盗を目撃し、
19の孝一は、その中老の男から脅される。
のちに、その中老の正体を知った孝一は、
職場からの帰途で眩暈におそわれる。
孝一は、カフェ店の店員に介抱してもらい、
助けてくれた白川葵と知り合う。
※
二日前に起きた女子大生殺人事件のことで、
荏原警察署の大会議室に関係者があつまる。
道警本部から応援で赴任してきた分析官——
優秀な天野伶佳が捜査に加わり、
5年前の悔恨を抱える加地谷も始動する。
❶絶望の選択【悲】
繁華街の方へ逃げこんだ殺人鬼を——
相棒の垣内と追っていた刑事の加地谷悟朗。
犯人に不意打ちをもらって、目を覚ませば、
暗い廃墟の室内で彼は拘束されていた。
外から照らされ車のライトで、
一瞬、部屋の様子を窺うことができた。
自分以外にも拘束されている人物がいる。
瀕死の状態に晒されていた垣内だった。
相棒の背後に犯人らしき人物もいた。
何故か犯人は、加地谷に銃を与える。
その意図を、犯人が指示で表していた場面。
暗い廃墟のビル中。
撃て、と。そう言っているのだ。さもなくば、火をつけて垣内を殺すと。
《前掲書、 P.19》※スマホで閲覧
相手の思惑に気づいた瞬間、加地谷の全身に怖気が走った。五体の感覚を丸ごと奪われたみたいに力が入らない。このクソ野郎は、相棒の命を弄ぶばかりか、火をつけて焼き殺すか、仲間の手でひと思いに死なせるかの選択を加地谷に迫っているのだ。
——なんてこった!
いや〜、文体が上手い。
物語に入りやすく、擬似体験もしやすい。
だからこそ、張りつめた空気感が伝わる。
加地谷の絶望感。
残念ながら、垣内を救う手段は皆無でしょう
であるならば、
苦しみを与えずに終わらせてあげたい。
銃で撃ってあげるのが最善なのかなぁ。
もし、それで犯人を撃てば、
落ちたライターの炎で引火しちゃうから、
結局、相棒を余計に苦しませてしまうしね。
❷ネコババ漢【察】
従姉妹家族の許で暮らしていた戸倉孝一は、
4つ年上の戸倉依子とともに、
荏原市のアパートへ越してきた。
自宅から近い木工製作所に入職した孝一は、
他の従業員たちと知り合い、業務をこなす。
ある時、仕事の休憩中に見てしまう。
五十代の骨ばった従業員の男が、
社長夫人の机から金を盗むところを。
すぐに孝一は、その場から立ち去ったが、
それを知られてしまったのか、
ちがう日の終業後に男から呼び止められる。
口止めを強いられ、孝一は脅されていた。
そこに太鼓腹の社長がやってくる。
契約書の要件で書類を渡されたとき、
孝一の腕を掴んでいた中老は消えていた。
工房前に隠れられるような場所はなかった。
怪訝に見渡していた孝一のようすに、
社長が尋ねくる場面である。
周囲に灌木が鬱蒼としげる——
勤務後の工房前。
「どうしたの。何かあった?」
《前掲書、 P.43~44》
「いえ、ちょっと今、井上さんと話していて……」
「──えぇ?」
今度は社長が怪訝そうに眉を寄せ、素っ頓狂な声を上げた。
「井上って、もしかしてあの井上……?」
「あの、とは……?」
お互いに、会話がかみ合わないことを察し、窺うような視線を互いに向け合いながら、僕たちはしばらくの間、沈黙した。
「そっか。君、そういうの視えちゃうんだって、戸倉が言ってたね」
——まさか……
あの中老の男は、すでに他界していたのか?
戸倉孝一の抱える事情とは、
この世に存在しない故人を視れるのかも。
前科持ちなのかと思いきや、
まさかのオカルト系。
19歳の大人しい霊視能力を持った青年が、
いったい、どう殺人事件と関わっていくのか?
時系列も謎ですしねえ。
加地谷の現在と並行しているとは限らない。
今のところ、
加地谷の前で焼殺していた犯人は、
警察内部の者ではないかと僕は睨んでいる。
殺された相棒は格闘技も優秀だったことから、
油断を許す身内じゃないと制圧できないはず。
加地谷悟朗に怨恨と憎悪をもつ誰か。
②事件の真贋【ー】
あらすじ——
女子大生殺人事件が起きた周辺で、
聞き込みをしていた加地谷と浅羽は、
近くのカフェで一服する。
戸倉孝一を介抱してあげた白川葵が接客し、
彼女を口説いていた浅羽を加地谷が止める。
今回の手口の粗雑さから、
加地谷はグレゴール・キラーの模倣だと睨む。
※
白川葵に助けられた戸倉孝一は、
あれから三日連続でカフェ店に通っていた。
一緒に暮らしている戸倉依子に勘ぐられ、
孝一は自分の恋心を指摘される。
翌日、仕事から帰途についていた孝一は、
大通りの近くでカフェ店の従業員を目撃する。
その人がもう亡くなっている霊だと気づき、
孝一は逃げて緑地の広間にたどりつく。
が、先ほどの霊の本体を見つけて驚愕する。
※
加地谷と浅羽は第二の犯行現場に訪れ、
犯行手口から本物だと推測する。
署にもどった加地谷たちは、
第一発見者である戸倉孝一の聞き取りを行い、
被害者の霊を視たという与太話を耳にいれる。
■現在起きている殺人事件
最初の被害者——高谷恵。
加地谷の推察では模倣犯の犠牲者だという。
五年前に起きたグレゴール・キラー殺人では、
4件とも『変身』の引用文が、
被害者の口腔内から見つかっている。
また、いずれもコピー用紙が使われており、
津島義則の事件でも同様だった。
高谷恵の場合では、胸ポケットに入れられ、
引用文はノートの切れ端に書かれていた。
頭のキレるシリアルキラーというのは、
独自の法則に誠実である傾向がみられる。
完璧にこだわるナルシストの犯人が、
こんな粗雑なミスをするとも思えない。
つまり、今回の殺人事件は、
本物と偽物の犯人がいる可能性もあるのだ。
③慟哭の嘆き【察・煩・呆・切】
あらすじ——
死体の第一発見者となった戸倉孝一は、
次の日の仕事を休むことになり、
白川葵のいるカフェ店に足をはこぶ。
葵と昨夜の一件について話していたところ、
仲間を数人引き連れた輩が彼女に纏わりつく。
堪え兼ねた孝一は、その男に立ち向かうが、
意識を失くして救急車にはこばれる。
※
大学生の津島が殺されてから数日後、
加地谷と浅羽は、明北大学を訪れていた。
5年前のグレゴール・キラー事件で、
協力してくれた教授が不在だったため、
加地谷は臨床心理学で講義中の准教授を訪ねる。
津島が限局性恐怖症を患っていると知り、
加地谷は、ほかの被害者達との関連性を疑う。
※
救急車に運ばれた戸倉孝一は、
病院のベッドで目覚め、無事に帰宅する。
白川葵と店長に昨夜のお礼を伝えようと、
翌日、カフェ店におもむく。
が、葵の体調不良による欠勤が数日つづく。
葵を心配していた孝一が、
自宅のベッドにいた午後九時の夜、
予期せぬ人物が訪ねてくる。
❶同居する謎【察】
警察の事情聴取から解放された孝一は、
夜も遅く、まもなく床についていた。
翌朝、事情を汲みとってくれた社長から、
休んでいいと連絡が入る。
平日を持て余すことになった孝一は、
アパートを出て行くことにした。
その時、
同居している依子について触れる場面。
戸倉孝一が住むアパートの部屋。
二度寝するほど身体の疲れを感じてはいなかったが、だからと言って何かする元気があるわけでもない。結局、昼近くまでベッドでゴロゴロして過ごし、ごく自然な流れで空腹を覚えた僕は、姿を現さない依子を刺激しないよう、そっとアパートを抜け出した。
《前掲書、 P.144~145》
——まさか……
従姉妹の依子も既に亡くなっているのでは?
なぜか、まだ明かされない孝一の過去。
彼の両親は何が原因で亡くなったのか?
依子は途中で語るのやめてしまうし、
どうして孝一についてきたのかも謎だ。
が、依子も死んでいるとすれば合点する。
彼女の母親——叔母さんから連絡来た時、
孝一は、依子に代わってあげなかった。
実際は、そうではなく、
霊だから代わってやれなかったのだろう。
「姿を現さない依子」——
この表現は、そういうことだよね?
❷下衆の来館【煩】
仕事を休むことになった孝一は、
白川葵がいるカフェ店に赴いた。
おなじ仕事仲間が事件の犠牲者となり、
よく知る店主も葵もショックで哀嘆がみれる。
孝一は、自分が発見者であったことを伝え、
ともに故人を哀悼し合った。
すると、葵の大学の知り合い——
金髪の軽薄然とした男が来店してきた。
おなじ風貌の連中を数名連れて。
事件のことで葵を心配しに来たという。
その青年——大脇の、
デリカシーに欠ける発言をしていた場面。
カフェ店〈サンパギータ〉。
料理を待っている間も、大脇の一団は大声で喋り、笑い、意味のない乾杯を繰り返しては大騒ぎだった。
《前掲書、 P.149~150》
「ねえねえ葵ちゃん、バイト何時に終わるの? このあと遊びいこーよ」
案の定というかなんというか、最初からそのつもりで来たらしい大脇が、注文したステーキをそっちのけで再び葵に言い寄り始めた。
——あ〜イライラ。
これは不快。
バイト仲間が殺されたばかりなのに、
「うん、いいよ」と言うはずがないよね。
もし言ったら、それはそれで驚きだけど。
サービス業の一番大変なところは、
接客したくない客層も現れるところでしょうか。
他のお客さんに迷惑をかけたり、
スタッフに悪態を曝してきたり、
風評被害や強盗やら、いろいろ……。
❸夜の訪問者【呆】
軽い脳震盪で病院に送られていた戸倉孝一は、
会社の社長に家まで送ってもらい、
カフェで起きたことを依子に打ち明けた。
孝一は、昨日の一件を詫びるという名目で、
翌日、葵のいるカフェ店に顔をだす。
しかし、彼女の姿はなかった。
体調不良とのことだった。
次の日も、そのまた次の日も、
葵が出勤してくることはなかった。
彼女に会えない寂しさを感じながら、
夜も遅い午後九時のこと——
突然、アパートのチャイムが鳴り出した。
孝一がドアスコープから確認する場面である。
戸倉孝一が住むアパート。
「はい、どちらさま……」
《前掲書、 P.207~208》
呼びかけながら玄関ドアを開く。そこには静まり返った廊下があるだけで、誰の姿もなかった。何かの悪戯か。そう思いドアを閉めてリビングに戻りかけたその時──
「……戸倉くん」
聞き覚えのある声がした。はっとして振り返り、ドアに張り付いてスコープから様子を窺うと、そこには不安そうに佇む葵の姿があった。
——ッ!?——
え、なんで孝一のアパート知ってるんだ?
連絡先も知らない店のお客さんの自宅を、
女性が一人で訪ねるなんて普通じゃない。
考えられるとしたら……
白川葵は、もう殺されているのかも……。
いや、だったらチャイムは鳴らせないか。
霊にそんなことできないよね?
あれ? じゃあ、訪ねてきたのは本物の葵?
❹去る片想い【切】
夜中に訪ねてきた白川葵をまねき、
孝一は、自分の秘密と過去を打ち明けていた。
お互いのことを語り合い、
葵の暗かった表情に笑顔が咲いた。
零時に近づいたとき、葵が突つと取りみだす。
現実を受け入れられない彼女に、
孝一は、真実を告げた。
ついに葵が納得したとき、
彼女の切ない願いを遺し去っていく場面である。
戸倉孝一が住むアパートの部屋。
「白川さん……白川さ……」
《前掲書、 P.230》
慌てて伸ばした僕の手は、さも当然のように空を切った。まるで、彼女のために何もできない無力な僕を嘲るかのように、現実を否応なしに突きつけられる。
「戸倉く……た……け……」
最後に蚊の鳴くような弱々しい声だけを残し、葵は完全に姿を消した。まるで最初からそこに存在などしていなかったかのように、跡形も残さずに。
そしてリビングには、一人残された僕の慟哭めいた嘆きが虚しく響いた。
——せつない。
悲恋ですねえ。
まさか、本当に亡くなっていたとは……。
もし、犯人が津島の時と同じ人物なら、
かなり、インターバルが短くなっている。
葵は、孝一に打ち明けていた。
家庭事情の悩みを、
学校のカウンセリングで受けていた、と。
それも非公式で。
葵と同じ大学の津島も受けていたのだろう。
もしや、臨床心理学を講師している人物——
美間坂准教授が彼らを殺したのだろうか?
洒落たスーツをまとった長身の三十代男。
生徒に近づきやすく、接点もある。
でも、これじゃ簡単すぎるよね?
犯罪心理学の教授——蒲生武臣は、
まだ、ちゃんと登場してないしなぁ。
5年前のグレゴール・キラーのときに、
捜査の協力をしていた太鼓腹じいさんです。
それに、加地谷の相棒——
浅羽賢介も完全にシロとはいえない。
感想(前半)
◆つかみ抜群のプロローグ!
「序章で死体を出せ!」
これぐらいのインパクトがあった方が、
続きのストーリーを読みたくさせます。
連続殺人鬼を追跡しているところから始まり、
加地谷悟朗が窮地におちいる場面が、
なんともスリリングで楽しかったですね。
◆天野伶佳の活躍はまだだった
応援で赴任してきた心理分析班——
黒髪を後ろで結んだパンツスーツの女性——
男達からの視線を熱く受ける小柄な天野伶佳。
挨拶の登場から加地谷との絡みもなく、
今、何やっているのかもよくわかりません。
でも、わざわざ本部から要請したくらいだから、
何かしら活躍してくれるはず。
後半に期待しましょう。
◆戸倉孝一が犯人逮捕のカギとなるか
カットバックで登場する19歳の青年——
なぜか霊が視えてしまう内向的な戸倉孝一。
彼は人と霊を見分けられないほど、
鮮明に体験してしまう能力を持っています。
木工製作所で勤めていた中老の男に絡まれ、
社長に言われて、男が霊だと知りました。
第二の殺人でも孝一は被害者の霊を視ています。
霊が残した言葉も聞いていました。
これは、ラッキーなキャラといえますね。
グレゴリー・キラーの捜査で行き詰まれば、
霊視した孝一を頼ればいいのですから。
被害者の霊が残した——
犯人に繋がるヒントから容疑者を突き止める。
これで証拠を押さえれば、事件は解決できます。
後半で事件は解決するのか?
まだ、下巻も残ってますからね。
後半の感情トリガー
【感情のトリガー↓】230~438P(スマホ)
①容疑者浮上【呆】
②変身の儀式【呆・定・蟠】
③光に進む者【ー】
【トリガーの内訳】
①容疑者浮上(模倣犯が発見される)
└偽物の発見【呆】(ッ⁉︎——)
②変身の儀式(グレゴール・キラーと対峙する)
├屋敷の異臭【呆】(ッ⁉︎——)
├名前を呼ぶ【定】(ヤッパリ)
└勇猛な青年【蟠】(キニナル)
③光に進む者(過去のしがらみから解放される)
【刺激された感情の種類:3種】
驚度:★★
呆=突然で呆気にとられる(2)
思考:★
定=察した予想がピタリと一致(1)
不幸:★
蟠=中途半端でまだ未解決(1)
全体を通してのプロット
A【人物・世界観の説明】
①舞台が北海道札幌圏内
②連続殺人鬼に相棒を殺された加地谷刑事
③荏原市に従姉妹と越してきた霊視能力者
a【物語が始まる起点・問題】
☆五年前に途絶えた連続殺人鬼が復活する
B【発生した問題への対処】
①グレゴール・キラー事件の捜査本部が立つ
②加地谷悟朗が新しい相棒と捜査を始める
b【問題の広がり・深刻化・窮地】
①戸倉孝一の霊視した人物が遺体で見つかる
②手口の違いから模倣犯と本物の判別をする
③戸倉孝一が加地谷達から聞き込みを受ける
④標的にされる被害者達の共通点を見つける
⑤戸倉孝一の大切な人が事件に巻き込まれる
C【人物の葛藤・苦しみ】
①加地谷達を頼りに戸倉孝一が現れる
②グレゴール・キラーの犠牲者が出る
c【問題解決に向かう最後の決意】
★被害者と接点のある容疑者を突き止める
★戸倉孝一も大切な人を捜しに向かう
D【問題解決への行動】
①連続殺人鬼を捕まえる
②拉致されていた被害者を救う
読了した感想
◆気になる点が残ってしまう
今回起きたグレゴール・キラー殺人事件。
被害者は皆、大学生ばかりで、
犯人との接点も確かめられています。
ですが、5年前の被害者たちは不明なまま。
歳も職業もちがう社会人で、
犯人は、どうやって彼らの情報を知ったのか?
そこが解らなかったので、
真犯人の正体に確証がもてなかったですねぇ。
◆終盤はスリリングを味わえました
戸倉孝一と従姉妹がタクシーで尾行し、
加地谷たちが向かった屋敷に忍びこむ場面です。
犯人に見つかったらアウトな状況で、
広い屋敷の中を進んでいくのですから、
そりゃあ、不安な気分になりますよねぇ。
描写が上手いせいです。
◆なんだかんだで仲良いコンビ
おそらく四十代くらいの加地谷悟朗と、
今年で二六歳の新米刑事——浅羽賢介。
一方は頑固な猪突猛進タイプで、
もう一方は、軽薄そうなチャラ男タイプです。
この二人の凸凹関係が微笑ましかった。
事あるごとに殴られてましたからね、浅羽刑事。
上下関係がしっかりしている二人ですが、
たまに浅羽がまともな一面を見せ、
加地谷を驚かせるという場面もありました。
今回の事件解決で、さらに絆が深まったはず。
そんな加地谷と浅羽に、
また、新たな殺人事件が起きたとの報告が……。
次は下巻ですね。
美人プロファイラーの活躍も見てみたい。
上巻では、さほど出番が少なかったので、
天野伶佳の凄腕っぷりを期待しています。
『バベルの古書 猟奇犯罪プロファイル Book1《変身》』
阿泉来堂(著)
KADOKAWA
2023年10月24日発売
想像力を鍛えて脳内映像化マスターへ!
※:執筆者の独断と偏見が含まれます。
※:本ページの情報は2023年10月時点のものです。
最新の配信状況はU–NEXTサイトにてご確認ください。
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