前半のストーリー
七月■日。謎の美少女・冷堂紅葉(れいどうもみじ)が転校してきた夏の日、クラスメイトが殺された。密室殺人だった。(中略)不死探偵と“普通”の相棒。再現不可能な殺人事件に挑む学園ミステリー、堂々開幕!
引用元:U-NEXT
美少女・冷堂が転入してきた天内の高校で、
殺人・盗難・殺人未遂の密室事件が起こる。
事件に巻き込まれた冷堂を助けるため、
天内晴麻が時空を飛び越え、謎に挑む。
◆登場人物
冷堂紅葉
晴麻のクラスの転入生。
才気煥発な淑女に加え、
凹凸の肢体が艶かしい。
高層建物で一人暮らし。
謎めいた不思議ちゃん。
天内晴麻
私立青崎高校二年A組。
文学研究会に所属し、
ミステリー小説を好む。
下宿で一人暮らし。
特殊な秘密がある。
笹村大和……晴麻と同じクラスの野球部男子
奥原鷲雄……晴麻と同じクラスのテニス部男子
宮川愛……晴麻と同年代のB組女子
カルバン……文学研究会に属する金髪青眼男子
塩江蜜柑……文学研究会に属するパーカー女子
律音澪太郎……晴麻の知り合いの刑事。27歳
芦原伊代……宮川愛と同じクラスで親友
山内絵里……晴麻と同じ高校の一年生女子
『不死探偵・冷堂紅葉 01.君とのキスは密室で』
零雫(著)
美和野らぐ(イラスト)
SBクリエイティ
2023年7月12日発売
購入金額の最大40%が、
32日後にポイントで還元されます!
※U-NEXTポイントの消費分は対象外
詳しくは——
感情トリガーとあらすじ、場面
※:本ページの情報は2023年8月時点のものです。
最新の配信状況はU–NEXTサイトにてご確認ください。
【感情のトリガー↓】0~328P(スマホ)
①不審な死【推・蟠・呆・知】
②重なる禍【怪・笑・謎・驚】
③異能力者【呆・茫・驚】
【トリガーの内訳】
①不審な死(学校内で不可解な事件が起きる)
├密室体育館【推】(マテヨ…)
├ブラジャー【蟠】(キニナル)
├淑女の奇行【呆】(ッ⁉︎——)
└晴麻の秘密【知】(ヘェ~)
②重なる禍(またも学校内で大事件が起きる)
├怒気の通話【怪】(ン⁉︎ ナンダロウ?)
├無骨な冷堂【笑】(アハハ)
├第二の密室【謎】(ナゾ)
└電話の報せ【驚】(エッ⁉︎ イガイ)
③異能力者(冷堂の秘密が明かされていく)
├取っ組合い【呆】(ッ⁉︎——)
├私を助けて【茫】(????)
└冷堂の成長【驚】(エッ⁉︎ イガイ)
【刺激された感情の種類:9種】
驚度:★★★★★
驚=予想外の出来事(3)
茫=神秘的な現象に遭遇する(1)
呆=突然で呆気にとられる(1)
思考:★★★
知=豆知識を教えてくれる(1)
推=謎を解く仮説を考察する(1)
謎=行動や現象に不可解を残す(1)
不幸:★
蟠=中途半端でまだ未解決(1)
恐怖:★
怪=様子に違和感を覚える(1)
攻撃:★
笑=滑稽さを感じて可笑しい(1)
①不審な死【推・蟠・呆・知】
あらすじ——
私立青崎高校に通う2年の晴麻のクラスに、
才色兼備の冷堂紅葉が転入してきた。
転校初日、校内の案内役を務めていた晴麻は、
自分が所属する文学研究会の仲間を紹介し、
興味を持った冷堂が入部を決める。
後、最後に周ったある場所で、
警察沙汰の大事件と遭遇する。
ミステリ小説のような密室事件に、
冷堂と晴麻が真相を追いかける。
❶密室体育館【推】
転入してきた冷堂に校内の案内を担う晴麻。
二人が最後に体育館の方を周ったとき、
女性の叫び声が中から聞こえ、
荒れていた用具室の中を目撃する場面。
七月七日(木曜日)。
放課後の体育館の中。
そして、その景色の一片……、ちょうどダンベルが転がっているあたりだ。
《前掲書、 P.54~56》※スマホで閲覧してます
そこには、一人の人間が力なく横たわっていた。制服を着ていることから、この学校に通っている生徒ということはすぐにわかった。
口を開けっぱなしの、生気のない表情。
スポーツ刈りの頭を中心に床に広がる、赤い血。どうやら、頭部から出血しているようだった。
——まてよ……(推)
■ポイント
- 亡くなってたのは笹村大和
- 体育館と用具室は施錠してあった
- 鍵を開けたのは一年の山内絵美
- 用具室の配置が変わっていた
- 後から宮川を含む3人の女子も現れた
事件は放課後前に起きていたのでは?
あのスポーツ刈りの被害者は、
晴麻が体育の授業終わりで施錠する時、
中に残っていたのかもしれない。
例えば、授業をサボりたかったとか、
放課後のサプライズの予定だったとか。
じゃ、誰が犯人だって?
そもそも、犯人はいないんじゃないかな。
ドジな被害者が無理な筋トレをして、
誤ってダンベルを頭に落とした可能性もある。
密室トリックが、これで解明——
なんてね。
まさか、第一発見者が犯人なのか?
体操服を着ていた山内絵美……。
ミステリなら女子も犯人になりえるからね。
で、晴麻達の気配を感じた女の子が、
気づかせるように大きな悲鳴をあげた。
女子からの告白を仄めかして、
体育館に呼び出していたのかもしれない。
動機は男女の縺れってやつなのかな。
体育館が本当に密室だったかも怪しい。
勝手口があったのかもしれないし、
換気口や窓から入れた可能性もある。
やはり、実際に現場を確かめないとダメだ。
❷ブラジャー【蟠】
警察の事情聴取の順番待ちで、
晴麻と他、現場にいた者は教室で待機。
その時、冷堂がある疑問を口にしていた場面。
呼ばれるまで待機している一年の教室内。
「被害者の男性は、なぜあんなものを持っていたのでしょうか?」
《前掲書、 P.70~72》
(中略)
この事件をブラジャー密室殺人事件、とでも名付けようか? などと考えていると、俺の頭の中で一つの事実に結びついた。
——気になる。(蟠)
黒い下着を右手に握っていたようです。
黒といったら勝負下着ですよね?
まさか、用具室で勝負をしていたのか?
んなわけはないとして、
どんな事実と結びつくねん。
そして、誰の下着だったのか?
今、その女の子はノーブラかもしれない。
その子を見つければ、
何か情報を聞き出せるはず。
いや〜、ミステリーですねえ。
上手いなあ、魅せ方が。
答えが気になるもん。
❸淑女の奇行【呆】
夜遅くに学校から解放された晴麻と冷堂。
一人暮らしの彼女を家まで送ったあと、
晴麻は家に上がらないかと誘われていた。
その甘言に誘惑されてしまった晴麻が、
冷堂のマンションの一室に入っていく場面。
七月七日(木曜日)——二十時を回る。
冷堂が住んでいる高層建物7階の部屋。
「はは、こんなところに一人で住めるなんて羨まし」
《前掲書、 P.91~92》
振り向いた瞬間、俺は冷堂に突き飛ばされ……いや、違う、寄りかかられる? 冷堂は全体重を俺に掛けるように倒れ込んできたのだ。そうだ、これは、
「な、何だ!? どうした!?」
いわゆる「押し倒される」という状況か。
——ッ!?——(呆)
なんだ、なんだ?
いったい、どうした?
喜ばしいのか、恐ろしいのかよく分からんぞ。
冷堂はおそらく、
女性が犯人だった場合を仮定し、
男を襲えるかどうか検証しているのかも。
というか、
まだ高校生の女の子が一人暮らしって、
僕が親なら反対だけどなあ。
セキュリティ度が高くても心配だよね。
さあ、この後の展開は——
❹晴麻の秘密【知】
部屋の中で冷堂に押し倒されていた晴麻が、
自分の隠していた秘密について語る場面。
冷堂の部屋のリビング。
「俺の異能力は、……時間を逆行できる」
《前掲書、 P.102~108》
手には何も持っていないが、俺は自分の掌を見ながら努めて淡々と話す。
(後略)
——へえ〜。(知)
引用文が長くなっちゃうんで、
分かりやすくまとめると——
■晴麻の異能力の特徴
■発動条件
》誰かと接吻を交わす
■副反応
》運命を変えると
不幸が訪れる
■時間遡行の縛り
①不自由……戻る日時を自由に決めれない
②認識後……死亡を認識した以前には戻れない
(仮に誰かの死体を発見した場合、
それ以降からランダムの時間に戻る)
③不可能……死者を未然に防ぐことは出来ない
(②の理由から)
ということで、
亡くなった方を救うことは出来ないみたい。
(過去にもどる時点で、
誰かの運命が変わると思うのですが……)
用具室で発見した以降の過去に限られる。
怪しいのは、他クラスの宮川愛——
ブラの持ち主かもしれない——だけど、
意外な人を犯人にするはずだから、
やはり、第一発見者の山内絵美あたりかな?
でも彼女、アリバイがあったんだよなあ。
死亡時刻の時、授業に出ていたらしいのです。
ん〜、分からんですのー。
冷堂も異能力者らしいけど、
この事件を解決しないと教えてくれない。
ちなみに、犯人は普通の人とのこと。
異能力者ではないと彼女は断言していました。
鼻が利くようです。
②重なる禍【怪・笑・謎・驚】
あらすじ——
体育館の密室事件から翌日、
晴麻と転校生の冷堂が関係者を当たり、
不可能犯罪の手がかりを追っていた。
聞き込みの情報を共有するため、
部室で落ち合う約束をしていた晴麻は、
旧校舎へと足を運ぶ。
が、そこでまた大事件と遭遇するのだった。
❶怒気の通話【怪】
変死事件から翌日、
晴麻と冷堂は、宮川の話を聞くことにした。
晴麻が宮川を呼びに行っているあいだ、
冷堂が昼食を買いに購買へ向かっていると、
携帯で話しているカルバンを目撃する場面。
七月八日(金曜日)、十二時三十分。
昼休みに入った新校舎の購買部ちかく。
「関係ねえだろ、俺にはよ」
《前掲書、 P.123》
(中略)
「別になくても困らねえよあんなもん……、自分でなんとかするから大丈夫だ。……今日? ああわかった。探せば文句ねえだろ」
——ん!? なんだろう?(怪)
電話の相手は塩江蜜柑かな?
おなじ文学研究会のパーカー女子。
晴麻と冷堂をふくむ4人だけの部の一人。
探すって、なんのことだろうか?
事件と関係する何かの伏線なのか?
冷堂のお腹の音で流されてしまったが、
なんか意味ありげなシーンだよね。
だけど、さっぱり繋がりが分からない。
冷堂が事件当日の昼12時半に、
鍵のかかった体育館前で拾った指輪も怪しい。
あの時、ポケットにくすねていたけど、
落とし物に届けたのだろうか?
今も持ち歩いているのか?
ガイシャの死亡推定時刻は13〜14時の間。
つまり、冷堂が来たのは犯行が起きる間近だ。
あ! 探すって、その指輪のことか?
指輪と事件がどう繋がるんだろう……。
ん~、ミステリー。
❷無骨な冷堂【笑】
旧校舎で一緒に昼食をとっていた晴麻達3人。
晴麻と冷堂が一人暮らしだと知り、
天然っぽい宮川は、二人に感心をする。
そんな髪を二つに結んでいる宮川愛に、
冷堂が歯に衣着せぬ発言をしてしまう場面。
七月八日(金曜日)。
旧校舎三階の文学研究会の部室。
「宮川さんも高校生には見えないですよ、色々」
《前掲書、 P.130〜132》
唐突に、冷堂がぶっ込んできた。どういう意味だそれは! と心の中でツッコンだが、言わんとすることは理解できる。そのせいで口に含んだ飲み物を吹き出しそうになる。
(中略)
「宮川、落ち着こう」
「天内くん~……」
「私より確実に大きいように見えます。気になります」
「うぁばばばばば」
「冷堂ー!!」
——あはは。(笑)
宮川のキャラが面白い。
やっぱ、天然キャラって良いですね。
ちょっと前から、滑稽なジャブを打たれ、
ついに、このシーンで吹いてしまいやした。
どんだけ大きいのか気になるじゃないですか。
ガチなシリアスミステリじゃないとこが、
また、僕に嵌って最高ですわ。
いや〜、まだ分からないけど、
犯人であって欲しくないな〜、宮川。
あの天然キャラは演技ってオチは勘弁ですよ。
■事件当日のタイムテーブル
ここも謎ですよねえ。
なぜ被害者の男は、ブラを握っていたのか?
そして、誰が盗んでいたのか?
ちゃんと女子更衣室の見取り図もあったけど、
なぞは深まるばかり。
B組の女子は、みんな検問を受け、シロだった。
宮川のブラを盗んでいなかったのです。
更衣室の鍵を預かる先生も証人がいてシロ。
窓は外倒しで隙間が小さく、忍べれません。
ただ、最後に残ってた生徒が、
ブラを窓から放り投げることはできる。
外で待機している協力者がいたのかもしれない。
だけど、必要性がまったくわからん。
くやしい……。
❸第二の密室【謎】
放課後、別々で聞き込みをしていた晴麻は、
旧校舎の部室で冷堂と落ち合う予定だった。
部室の鍵を持っていた晴麻は、
冷堂を待たせないように急いで向かう。
が、いつも開かれている旧校舎の入り口が、
誰かによって内側から鍵を掛けられていた。
1時間以上もまわりの窓を調べていたとき、
一階の窓の開かれる音を晴麻は確認する。
その開いた窓から部室へ駆け込む場面。
七月八日(金曜日)、十八時。
三階建ての旧校舎。
とりあえず俺は、開いていた窓から中に入り、入り口の扉を開錠した。やはり内側から鍵が掛けられていた。
《前掲書、 P.187〜190》
(中略)
そして心臓には、大きな刃物が突き刺さり、直立していた。これは鉈だろうか。
これではまるで磔刑だ。彼女は心臓を貫いて地面に固定されているのだ。
——なぞ。(謎)
プロローグで出てきた場面ですね。
まだ体育館の密室も解決されてないのに、
第二の密室——それも明らかな凶悪犯罪事件。
部室にどうやって入れたのだろうか?
鍵は晴麻が持っていたのに。
部室の鍵を掛け忘れていたのだろうか?
ガイシャは、どうして襲われたの?
儀式的、もしくは芸術的な演出を施して……。
塩江とカルバンの用事も気になるし、
なぞな要素が多すぎる。
一階の窓から犯人が逃げたってこと?
いや、そう思わせてどこかに潜んでた?
晴麻のタイムリープを使っても、
亡くなった被害者は救えないんだよね?
認知しちゃったから……。
どうすんだ、この後の展開?
❹電話の報せ【驚】
旧校舎の大事件から翌日、
27の律音刑事に呼ばれた晴麻と宮川は、
喫茶店で事情聴取をされていた。
聞き取りが終わり、
晴麻と宮川が帰路につこうとしていた場面。
七月九日(土曜日)。
昼間の喫茶店。
「電話だ、出るね。二人ともありがとう」
《前掲書、 P.210〜211》
ミオさんはまた俺達に謝辞を述べて、歩きながら電話に出た。
「俺達も帰るか」
「そうだね」
「……なんだって!?」
(後略)
——えっ!? 意外。(驚)
後略で隠しときましたが、
こりゃあ、びっくり。
なんか、未知な力が働いているような……
誰かの異能力によるものだったりして。
そんなことって、ある?
ゴールデンカムイの杉本じゃあるまいし。
12歳くらいのアシリパちゃんに付き添う、
タフで面白い男です。
ほんと、展開が読めなくて最高です!
謎と驚きがたまらん。
③異能力者【呆・茫・驚】
あらすじ——
旧校舎で起きた大事件から週が明け、
学校は一週間休校することを発表する。
下校することになった晴麻は、
校舎裏に呼ばれたカルバンに不審を抱く。
一悶着あり、独り佇んでいた晴麻の前に、
冷堂が現れる。
気づくと、晴麻は7月8日の金曜日に戻り、
旧校舎の中にいた過去の冷堂と会う。
救いを求められた晴麻は明かされるのだった。
冷堂の異能力の秘密を——。
❶取っ組合い【呆】
カルバンから事件について尋ねられ、
晴麻が曖昧な返事をしていたとき、
塩江と奥原カップルも二人の前に現れた。
用具室で起きた事件の犯人を、
奥原は、晴麻だと勝手に決めつけ、
いきなり暴力を振るってきて緊張が疾る。
それを間近で目撃していたカルバンが、
奥原の暴走を止めようとした場面。
七月十一日(月曜日)。
午前中の校舎裏。
仲裁しようとしたカルバンを、奥原が腕を突き出して弾く。
《前掲書、 P.242》
後ろに押されたカルバンがよろけながら後退る。すると、足元に何か黒い物が音を立てて落ちた。
「……ん?」
それを見て、俺はぜえぜえと荒い息で思わず疑問符を浮かべた。
地面に落ちたそれは、明らかに拳銃だった。
——ッ!?——(呆)
け、けんじゅう?
アメリカ人の両親から勝手に持ち出したのか?
いやいや、日本には持ち込めれないか。
え? なんでカルバンが銃を持っているの?
学校に携帯してくるって、なんと物騒な。
塩江ちゃんが、少し残念だなあ。
文学を嗜むのに、選んだ彼氏は盆暗。
彼女いる前で冷堂の連絡先を訊いていたし、
鼻持ちならない性格をしております。
テニス部で、イケメンで、モテモテ……。
そりゃ、選ぶか。
でも、カルバンも負けてない。
挿絵では、かなりイケメンに描かれてます。
いや〜、気になりますね〜。
拳銃といい、晴麻にも言えない秘密といい、
裏があって惹きつけられる。
❷私を助けて【茫】
校舎裏での一悶着が過ぎ去ったころ、
雨晒し状態で独り残っていた晴麻の前に、
おなじく雨晒し状態の冷堂が現れた。
神妙なようすの彼女のところへ、
心配した晴麻が駆け寄っていた場面。
雨雲が覆った午前中の校舎裏。
「私を、助けてください」
《前掲書、 P.252》
やがて、冷堂の唇が、俺の唇と重なる。端的に言うと、キスをされた。
(中略)
誰かとキスをするのがトリガーという、扱いにくすぎる俺の異能力が発動する。
時間が、巻き戻る。
——????(茫)
私を助けてください?
健康そのものの彼女が何を言ってるんだ?
重傷を負ったのにもかかわらず、
病院を一日で退院していた奇跡の少女です。
見舞いにいった晴麻も、
食い入るようにしっかり確認してましたからね。
側から見たら誤解されそうな場面です。
案の定、そこに宮川愛が現れるのですが……。
それに、助けるってことは運命を変えること。
母を失くすほどの不幸が訪れるんじゃ?
凄いな、これ。
どんどん興味が湧いてくるぞ。
もう、目が離せない。
❸冷堂の成長【驚】
晴麻は冷堂の突然のキスで、
三日前の七月八日にタイムリープしていた。
旧校舎の部室で目覚めた晴麻は、
当時、落ち合う約束をしていた冷堂を発見。
彼女から自分の異能力を明かされた晴麻は、
凄惨な事故現場の後処理を一緒に行った。
その後、晴麻が冷堂に追及をすると、
彼女が自身の異能力について答えていた場面。
七月八日の夕刻。
旧校舎三階の文学研究会の部室。
「そして、私の体の成長は十六歳で止まっています。……実際の私はもう少しだけ年上です」
《前掲書、 P.267》
「もう少しって、本当は何歳なんだ?」
「…………………………二十四、です」
——えっ!? 意外。(驚)
晴麻より8歳も年上だった。
また、違うミステリが出てきましたね。
SFファンタジー・ミステリって感じ?
そこに、ファンサービスも追加。
冷堂の恥じるポイントがズレてて面白い。
胸部に関してはいたって平気なのに、
お腹だけは絶対見られたくないのです。
あと、脚の部分も。
とくに痣や怪我もないのにですよ。
変わってますよねえ。
いつも冷静沈着の彼女の、
意外な弱点がとても魅力的。
おまけに大食いですからね。
お腹の鳴る音も大きいし。
■ここまでの相関図
この中に犯人がいるんでしょうかねえ。
笹村を鈍器でなぐった人が。
一人とも限らないですよね。
ブラの盗難は共犯者がいれば可能ですし。
どうも、芦原伊代がにおうんですよ。
晴麻が聞き込みをしていたとき、
彼女の頭の回転の速さが伺えました。
犯人の特定につながる証拠を残さず、
完璧な密室を遂げていますからね。
ブラの検問も芦原が言い出していました。
絶対バレない自信があったのかもしれない。
彼女なら動機もあるように思える。
笹村という男、しつこかったみたいです。
宮島愛になんども言い寄って。
親友を守るためにやったのか?
だとすれば、どうして冷堂を?
後半が楽しみですね。
感想(前半)
◆つかみが抜群のラノベミステリ!
ただのミステリじゃないのが最高!
思わず笑うラブコメ要素もあるでしょ、
異能力を使うというファンタジー要素に、
時空を移動するSF感、そして——
頭脳を刺激される密室のミステリ。
ヒロインである冷堂や宮島も、
キャラ立ちしていて魅力的。
後半が早く読みたくてたまりません。
これ、一巻で解決するんですかね?
三つありますからね、密室事件。
- 『体育館の密室』
- 『更衣室の密室』
- 『文学研究会の密室』
ここまでが前半までの感想です。
後半の感情トリガー
【感情のトリガー↓】328~651P(スマホ)
①尾行偵察【訝・推・驚・笑】
②犯人確定【呆・謎・疑/定・楽・呆・悲】
③局面打開【訝・凄・喜・美】
【トリガーの内訳】
①尾行偵察(タイムループを繰り返す)
├ブラの留具【訝】(ハ?)
├犯行の実演【推】(マテヨ…)
├恐いメイド【驚】(エッ⁉︎ イガイ)
└逆行の儀式【笑】(アハハ)
②犯人確定(あるヒントで事件の真犯人が判明する)
├指鳴らす音【呆】(ッ⁉︎——)
├未来の変化【謎】(ナゾ)
├Hカップ用【疑/定】(マチガイナク…/ヤッパリ)
├全てが解明【楽】(ウキウキ)
├刑事の尋問【呆】(ッ⁉︎——)
└犯人の奇行【悲】(ナンテコッタ!)
③局面打開(困難を次々と乗り越えて解決する)
├冷堂の密室【訝】(ハ?)
├バイク乗り【凄】(スゴッ!)
├意外な味方【喜】(オー!)
└完き幕閉じ【美】(ウツクシイ)
【刺激された感情の種類:13種】
幸福:★
喜=恵まれた状況を認知する(1)
賛美:★
美=調和のとれた神秘的な存在(1)
驚度:★★★★
驚=予想外の出来事(1)
呆=突然で呆気にとられる(2)
凄=程度が甚だしくて優れてる(1)
思考:★★★★★★
訝=疑問を抱かせる言動や描写(2)
推=謎を解く仮説を考察する(1)
謎=行動や現象に不可解を残す(1)
定=察した予想がピタリと一致(1)
疑=不審な様子や証拠で疑う(1)
不幸:★
悲=悪くなった状況を認知する(1)
攻撃:★
笑=滑稽さを感じて可笑しい(1)
乗気:★
楽=告知されてる出来事への期待(1)
全体を通してのプロット
A【人物・世界観の説明】
①晴麻のクラスに冷堂紅葉が転入する
②晴麻と同じ文学研究会に冷堂も入部する
③部員の仲間達を紹介する
a【物語が始まる起点・問題】
☆体育館用具室で密室殺人が起きる
☆晴麻が異能力者だと冷堂が気づく
☆下着の盗難が発覚する
B【発生した問題への対処】
①冷堂と晴麻が事件を捜査する
②事件の関係者と知り合う
③密室の盲点を探っていく
b【問題の広がり・深刻化・窮地】
①旧校舎で殺人未遂事件と遭遇する
②第一発見者の晴麻が友達に疑われる
③冷堂と晴麻がタイムループする
④旧校舎の事件が完璧な密室だと判明する
C【人物の葛藤・苦しみ】
①部員の仲間と関係者が一緒に捜査する
②冷堂の推理で仲間への疑惑が浮上する
③晴麻と冷堂が友達を偵察していく
④偵察の邪魔とタイムループの反動が表れる
c【問題解決に向かう最後の決意】
★ある報告で晴麻が犯人を特定する
D【問題解決への行動】
①晴麻達と警察が犯人の下へ向かう
②全ての密室の謎を解明していく
③犯人との死闘に決着がつく
④関係者達の視点から事件を振り返る
読了した感想
◆計算されつくした面白さに感服!
いや〜、綺麗に解決しましたねえ。
一人称多視点からの描写による、
欠けてたピースがすべて嵌るこの納得感。
美しいに比する作品でありました。
面白いだけじゃなかったのです。
最終目標は冷堂の父の密室解明でありますが、
ここで完結しても満足感がまだ残ってます。
時間のループ系って、好きなんですよね。
アニメの例、
- 『サマータイムレンダ』
- 『ひぐらしのなく頃に』
- 『Re:ゼロから始める異世界生活』
洋画の例、
- 『パーム・スプリングス』
- 『ハッピー・デス・デイ』
- 『オール・ユー・ニード・イズ・キル』
おそらく、単純接触効果じゃないかと。
サブキャラも何度も登場するから、
自然と親近感が湧いてくるというか、
いつの間にか好きになってることもあります。
でも、絶対、高度なテクニックですよね?
最終的な未来を確定していないと、
整合性が上手くとれないんじゃないかな。
行き当たりばったりでは書けないはず。
とくに、ミステリーならなおさら。
だから、作者の賢さが覗えてきます。
冷堂の父親の密室事件の謎——
零雫先生の次作が楽しみですね。
『不死探偵・冷堂紅葉 01.君とのキスは密室で』
零雫(著)
美和野らぐ(イラスト)
SBクリエイティ
2023年7月12日発売
想像力を鍛えて脳内映像化マスターへ!
※:執筆者の独断と偏見が含まれます。
※:本ページの情報は2023年8月時点のものです。
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