『スパイ教室08 《草原》のサラ』はどんなストーリー?
◆どんなストーリー?
CIMの監禁と監視を受けていた『灯』は、
モニカの居所を知る『白蜘蛛』を追っていた。
近々、皇太子の葬儀が行われることを知り、
『灯』は『白蜘蛛』のスパイを探す罠を張る。
クラウスの暗殺に現れる白蜘蛛を捕縛するため、
少女たちが奥の手の詐術で戦いに挑む物語。
◆主要人物
クラウス……スパイチームの指揮官
リリィ『花園』……銀髪の17歳
ジビア『百鬼』……白髪の17歳
サラ『草原』……茶髪の15歳
ティア『夢語』……黒髪の18歳
グレーテ『愛娘』……赤髪の18歳
モニカ『氷刃』……蒼銀髪の16歳
アネット『忘我』……灰桃髪の14歳
エルナ『愚人』……金髪の14歳
『スパイ教室08 《草原》のサラ』
竹町(著)
トマリ(イラスト)
KADOKAWA
『スパイ教室08 《草原》のサラ』の感情トリガー
※:本ページの情報は2023年3月時点のものです。
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【感情のトリガー↓】481ページ(スマホ)
①許容【蟠・呆・尊】
②秘話【呆】
③炙出【察・褒・定/呆・褒】
④抗戦【定/呆・解・驚】
⑤切札【察・呆・蟠】
トリガー数:16
【トリガーの内訳】
①許容(アネットの恐ろしい面を仲間が受け入れる)
├紅炉の真実【蟠】(キニナル)31
├忘我の脱走【呆】(ッ⁉︎——)75
└草原の慈愛【尊】(カッケ-)108
②秘話(『翠蝶』が『蛇』の経緯を打ち明ける)
└脱走の幇助【呆】(ッ⁉︎——)120
③炙出(リリィ一行の策で敵を炙り出す)
├淹れた紅茶【察】(マサカ…)216
├敵を暴く策【褒】(ブラボー)247
├スパイ発覚【定/呆】(ヤッパリ)251…
└白髪の神業【褒】(ブラボー)293
④抗戦(クラウス暗殺阻止の戦いが始まる)
├寝返る麗人【定/呆】(ヤッパリ/!?)307
├炯眼の正体【解】(ナルホド)356
└灯の鳳の謎【驚】(エッ⁉︎ イガイ)383
⑤切札(白蜘蛛を倒す『灯』の奥の手が披露される)
├炯眼の正体【察】(マサカ…)418
├サラの志願【呆】(ッ⁉︎——)453
└神樹の墓守【蟠】(キニナル)471
【刺激された感情の種類:8種】
幸福:0
賛美:3
褒=解決策に納得する(2)
尊=希望を持たせる英雄的行動(1)
驚度:6
驚=予想外の出来事(1)
呆=突然で呆気にとられる(5)
思考:5
解=不可解が解明される(1)
定=察した予想がピタリと一致(2)
察=ヒントから展開の予測がつく(2)
不幸:2
蟠=中途半端でまだ未解決(2)
恐怖:0
攻撃:0
乗気:0
①許容【蟠・呆・尊】
あらすじ——
『白蜘蛛』と『黒蟷螂』に襲われ、
モニカは消息不明となっていた。
『灯』はCIMの防諜部隊に拘束され、
彼らの監視つきで『蛇』の捜査に協力する。
クラウスがまだ監禁されているなか、
拘束を解かれたリリィ、ジビア、サラが動き、
療養中の他の仲間がいる秘密病棟を訪れた。
参謀担当のグレーテから捜査方針を聞き、
『白蜘蛛』に関する懸念にリリィ達は難渋する。
その時、同じ病棟に隔離されていたアネットが、
独断で脱走してしまうのだった……
————————
❶紅炉の真実【蟠】
小説家ディエゴの部屋で、
『白蜘蛛』と『黒蟷螂』が会話するシーン。
ディエゴ・クルーガー——
フェンド連邦の小説家。
コカイン依存症で、
部屋を『蛇』の隠れ家にされている。
そこに猫背でキノコヘアーの『白蜘蛛』と、
片腕に二本の義手をつけた『黒蟷螂』がいた。
ディエゴはトリップして小便をぶちまけている。
『黒蟷螂』は訊ねていた。
なぜ『燎火』の暗殺に拘るのか、と。
『白蜘蛛』は、半分は私怨だと答えた。
『蛇』の仲間の『銀蝉』がクラウスに殺され、
『紫蟻』は『灯』によって拘束されたのだ。
そして、もう半分は——
もし『紅炉』の真実にたどり着いたとき、
『蛇』にとって、最大の敵となってしまうから。
クラウスの暗殺に失敗すれば、
弱者が蹂躙される世界になってしまう——
『白蜘蛛』は、そう言っていた……。
——気になる。(蟠)
①『銀蝉』ってどんな奴だったんでしょう?
②『紅炉』の真実とは、
世界中を敵にしてしまうような内容?
③『蛇』の大義って何なの?
弱者を救おうとしているの??
————————
❷忘我の脱走【呆】
秘密病棟を訪ったリリィ、ジビア、サラが、
療養中のグレーテの知恵を借りるシーン。
フェンド連邦の秘密病棟。
要人たちが療養する特別の病院。
ここに、『灯』の少女たちが隔離されていた。
モニカに重傷を負わされた灰桃髪のアネット。
モニカに拉致され、衰弱した赤髪のグレーテ。
モニカを逃すために被弾した金髪のエルナ。
獣みたいに暴れるアネットは、ベッドで拘束。
まだ、体力のもどらないエルナは眠っている。
グレーテは眠らず、ラジオの情報を記していた。
リリィとジビア、サラの3人は、
CIMの女性の監視付きで病棟を訪れた。
仲間の様子の確認とどうじに、
智謀に優れたグレーテの力を借りるため。
グレーテはすでに捜査方針を考えていた。
近日、皇太子の葬儀の前後に現れる——
白蜘蛛を捕らえてモニカの場所を訊き出す!
各国の要人達が集まり、盛大に行われるため、
敵のスパイも葬儀に参加する可能性がある。
当然、クラウスの監視が薄くなるだろう。
CIMは葬儀のほうに多く人員を割くはず。
これは『白蜘蛛』にとって最高の好機である。
彼がクラウスを仕留めに現れる可能性が高い。
その時、想定外のことが起きた。
リリィたちの監視役の女が言ったのだ。
アネットが病室を脱走した、と……。
——っ!?——(呆)
鎖で拘束されていたはずなのに、
それを解いたってこと?
いったい、どこに行くつもりなのか?
モニカの居所なんて知らないだろうし……
まさか、心当たりでもあるのか?
————————
❸草原の慈愛【尊】
病棟から脱走したアネットを発見したサラが、
暴徒になりかけていた彼女を説得するシーン。
フェンド連邦の首都にある大通り。
陽光の輝く、ザワザワした雑踏の道を、
リリィたちと監視役の女性が駆けていた。
脱走した患者衣姿のアネットを捜していたのだ。
サラの仔犬がアネットの匂いを嗅ぎ取り、
ジビアとリリィもサラに続いていく。
そこは地下鉄の中だった。
床にポタポタと落ちた血痕を追うと、
暗い線路の非常用通路のところで、
壁に凭れて吐血しているアネットがいた。
モニカにやられた箇所の傷口が開いている。
アネットの様子がおかしい……。
14歳でエルナと同じ低身長で、
灰桃髪をツインテールにした——
天真爛漫の愛らしい少女が、
今では別の何かに変わっていた。
冷淡で残忍で無心の化け物のような……。
彼女は殺意を込めて宣った。
モニカの姉貴をころしにいく、と。
猟奇的な一面が露われている。
リリィたちの説得にアネットは拒絶した。
監視役の女がスパイ用の武器を取り出した。
諜報機関の連中も地下鉄に現れた。
このままでは、アネットが射殺されるだろう。
アネットは火花が散る切り取った電線で、
近づくものを寄せつけない。
そんな彼女のほうへ、
気弱な茶髪のサラが近づいていく。
修羅の道へ逃避しようとしていた彼女を、
戦闘に不向きなサラがどう説得するのか?
答えは『説得しない』だ。
サラは無条件の愛でアネットを許容した。
残酷な面を受け入れ、彼女を抱きしめたのだ。
そのとき——
アネットの手から電線が離れたのだった。
——カッケェー。(尊)
言葉の通じない動物とも仲良くなれる——
サラだからこその魅力が発揮です!
自ら危険にあしを踏み入れ、
相手に希望を与える……尊敬に値します。
気になるのは——
果たして、アネットは赦すことができるのか?
自分に大きな傷を与えたモニカのことを……。
再び、彼女達は笑い合うことができるのか?
②口外【呆】
あらすじ——
脱走したアネットを宥めたリリィ一行は、
元の病棟に送り届けようとしていた。
その時、アネットから思わぬ事実を聞かされる。
彼女の脱走を助けていたのは、
殉職したはずの同胞『鳳』のメンバーであった。
一方、防諜部隊の長であるアメリは、
捕らえた『蛇』の一味『翠蝶』の尋問を行い、
《暁闇計画》という言葉を耳にする。
翠蝶は、それを説明するため、
『蛇』を創設した白蜘蛛について語りだす……
————————
脱走の幇助【呆】
サラたちが病棟に送っている道中、
アネットが脱走の真相を明かすシーン。
眠ったアネットはジビアに背負われ、
秘密病棟に送られていた。
一応、スパイという要人扱いのため、
一般の救急車は呼べなかったのである。
リリィとサラも一緒に連れ添うなか、
監視役のミーネがアネットを叩き起こした。
あの秘密病棟を脱走するなんて前代未聞。
あってはならない不祥事だった。
防諜部隊『ヴァナジン』の副官である彼女は、
寝ぼけたようすのアネットに訊ねていた。
どうやって脱走したんだ?——と。
ジビアの背中の上でアネットは答えた。
『鳳』の仮面野郎が脱走を助けてくれた、と。
——ッ!?——(呆)
あんなに念を押していたのに?
本当に死亡していたのだ、と……。
となると、
『焔』の死亡説も怪しくなってきますね。
『紅炉』『焙烙』『煤煙』『灼骨』『煽惑』、
この中にも生存者がいるのでは?
いや、必ずいるはず……たぶん。
③炙出【察・褒・定/呆・褒】
あらすじ——
アネットを病棟に戻したリリイ一行は、
彼女から『鳳』に助けられたと聞いていた。
それをヒントにリリィたちはCIMを利用し、
『鳳』の生存者の捜索を促した。
その秘策が功を奏し、
『蛇』に共謀する裏切り者の容疑者が発覚する。
しかし、リリィたちの前に思わぬ強者が現れ、
仲間を逃してあげたジビアが戦いに挑む……
————————
❶淹れた紅茶【察】
監視付きのCIM本部の一室で、
『白蜘蛛』を拘束するための作戦を、
リリィたちが会議しているシーン。
リリィ、ジビア、サラは、
生きていた『鳳』の捜索願いをアメリに伝え、
CIMの連中を動かしていた。
遺体は偽装されたもので、
実は身を潜めていると噂を広めていたのだ。
CIM本部の一室。
リリィたちに貸し与えられた部屋で、
作戦会議が開かれていた。
サラ、ジビア、監視役のミーネもいる。
好戦的な態度のミーネが言った。
『鳳』の捜査は今日で打ち切る、と。
彼女に楯突いたのは白髪のジビアだった。
似たような性格をしており、衝突が起こる。
そこに現れたのが銀髪のリリィだった。
ティーカップの入ったお盆といっしょに。
仲裁するようにリリィはミーネに勧めた。
それは淹れたての紅茶であった。
——まさか……(察)
毒か眠剤が紅茶に入れてあるのか?
ミーネの監視から逃れ、
リリィたちが自由に行動するために。
————————
❷敵を暴く策【褒】
リリィ一行がクラウスの暗殺をふせぐために、
CIMに潜む裏切りものを炙り出すシーン。
ダリン皇太子殿下の葬儀の前日。
CIM本部では幹部が揃う会議が行われていた。
『蛇』の連中を知る参考人として、
そこにリリィ、ジビア、サラも参加させられた。
寂寂とした広い部屋に、
6人の幹部たちが円を描くように座している。
特務防諜部隊の長『操り師』の♀アメリ。
最大防諜部隊の長『甲冑師』の♂メレディス。
特別暗殺部隊の長『影法師』の♂ルーク。
陸軍中将を兼任『索敵師』の?シルヴェット。
道具制作機関の長『道化師』の♀ハイネ。
市民動向調整機関の長『旋律師』の♂カーキ。
大きな円卓を囲んでいる彼らのまえで、
リリィ一行は手持ちの隠し武器、全て没収。
監視役のミーネに奪われてしまった。
『白蜘蛛』の共同捜査で呼ばれた訳ではない。
『灯』の連中に大人しくしてもらうためだった。
クラウスが狙われやすいタイミングで、
この徹底ぶりはいかにも怪しい。
もしかしたら、いるのかもしれない——
『蛇』に寝返った裏切りものが、この中に……。
CIMの貸し部屋に戻されたリリィ一行は、
部屋の窓から屋根の上に登り、脱走した。
しかし、すぐに彼女が目の前に立ち塞がった。
監視役のミーネだ。
好戦的で口が悪く、リリィたちを蔑む女。
彼女は『鳳』の捜索を勝手に打ち切り、
彼らの生存はありえないと啖呵切っていた。
それがリリィたちの策だったとも知らずに……。
なぜ『鳳』に生存者はいないと断言できるのか?
防諜部隊の長、アメリですら分からないのに。
アメリは『鳳』を襲撃したが、
殺害の現場には立ち会っていなかったのである。
遺体の様子からも本人かどうか真意は不明。
つまり、生存説は全くありえない訳ではない。
なのに、ミーネだけは違った。
彼らは間違いなく死んでいると、確信していた。
リリィはミーネに言った。
そう確信できるのは『蛇』のスパイだけだ、と。
——ブラボー!(褒)
だから『鳳』の噂を広めていたんですね。
なんとなくミーネは怪しいと思っていたけど、
その暴き方までは思いつきませんでした……。
ちなみに、遺体のDNA検査とか、
個人の特定もできないほど損壊していたのでしょうか?
————————
❷スパイ発覚【定/呆】
リリィ一行が、
スパイ容疑者のミーネを追い詰めるシーン。
ひと気のない大きな廃ビルの中。
周辺に住宅のないこの近辺は、
夜になると人は近寄らない。
リリィたちは敢えてこの場所を選んだ。
ミーネに助けを呼ばせないためである。
『蛇』の協力者と疑われたミーネは、
対スパイ用の音響兵器を取りだした。
耳を塞いでも《絶音響》のつんざく音で、
相手を容易く苦悶させる。
が、ミーネは兵器を使うことができなかった。
手が震えだし、大量の汗を流し、
力なく床に頽れたのだ。
遅れて効いてくるリリィの淹れた紅茶——
そこには毒が入っていた。
そして、それをミーネは飲んでいた。
——やっぱり!(定)
リリィは解毒剤を彼女の前に提示し、
ミーネの口を割らせようとする。
すると、ミーネは声をかぎりに叫んだ。
呼んでも声の届かない場所で、
助けてえぇぇぇー、ボスぅぅぅー!!
それは突つと現れた!
黒い影が少女たちに向かって突進してきたのだ。
ジビアが食い止めようとしたが、無理だった。
彼女の後ろにいたリリィとサラも吹っ飛ばされた。
黒い肌を持った、
ライオンを彷彿させる金髪の男。
彼はリリィから奪った解毒剤をミーネに与えた。
リリィたちも知っている人物——
最大防諜部隊の長『甲冑師』のメレディスだった。
——ッ!?——(呆)
二重スパイの多さにびっくり。
翠蝶に尋問していたアメリも怪しいですよねぇ。
《暁闇計画》を聞かされて裏切るかも……。
————————
❹白髪の神業【褒】
サーベルを使う『甲冑師』のメレディスと、
モニカに劣る白髪のジビアとの戦闘シーン。
ひと気のない大きな廃ビルの中。
視界の暗いコンクリート内で、
リリィたちを逃していたジビアが倒れていた。
メレディス『甲冑師』——
CIMの最大防諜部隊の長。
黒い肌をした金髪の男性で、
強者特有の落ち着きを纏っている。
漆黒のコートを羽織り、
時代錯誤なサーベルを武器に使用する。
ジビアは彼に左手の指を折られ、
右腕はサーベルの剣先で貫かれていた。
圧倒的な実力差を目の当たりにし、
もはや戦意を失いそうになっていたのだ。
が、メレディスはモニカの名を出し、
ジビアとの戦力を比較していた。
それが彼女のレベルを引き上げる——
きっかけになるとも知らずに……。
そのとき、二階の天井が崩れ落ちてくる。
手負いのジビアに好機を与えるかのように。
メレディスは部下を守りながら瓦礫を避けた。
すでに彼の死角をついていたジビアに投擲される。
リリィから渡されていた毒の瓶を。
瓶はメレディスのサーベルで破壊され、
中に入っていた液体が彼の口に触れた。
男は急いで少女から奪っていた解毒剤を口にする。
だが、すでにジビアの攻撃を終わっていた。
戦闘中、メレディスは解毒剤を盗まれていた。
先ほど服用していたのは毒のほうだったのだ。
それも薄めていない猛毒だ。
ジビアによって掏り替えられていたのだった。
彼女の覚えた新しい詐術——
『窃盗』×『掏替』──虚実混交。
強者メレディスは、
ジビアによって敗北を喫したのだった。
——ブラボー!(褒)
『鳳』のナンバーツー——
甘いマスクの『翔破』ビックスのヒントが、
ここで活かされるとは!
④抗戦【定/呆・解・驚】
あらすじ——
ジビアはCIMの幹部に襲われていた。
メレディスの圧倒的な力に敗北寸前の彼女は、
自身が編みだした新たな詐術で逆転してみせる。
だが、メレディスも嘘の情報に翻弄されていた。
その時、クラウスが失踪する。
彼を暗殺する絶好のチャンスに、
ついに『白蜘蛛』本人が動き出すのだった……
————————
❶寝返る麗人【定/呆】
皇太子の葬儀の前夜、
監禁部屋から連れ出されたクラウスが、
蒸気機関車に乗って移動するシーン。
夜霧に包まれているヒューロの街。
クラウスを乗せた一台の乗用車が走っていた。
着いたのは、とある鉄道の整備工場。
車から降ろされたクラウスは、
寡黙な厳しい蒸気機関車に乗せられた。
彼の脱走をふせぐため、
両腕は後ろで厳重に拘束されている。
高速で走っている機関車から飛び降りれば、
クラウスだろうと死は免れない。
すると、前方の機関室から男がやってきた。
右手に銃を持った飄々とした顔の男——
『白蜘蛛』だ。
ついに彼は『燎火』を仕留めに現れたのだ。
いったい、誰がここまで手引きしたのか?
クラウスと異なる席に座っていた人物——
長身で目の下にクマのある魔女のような女——
『操り師』のアメリであった……。
——やっぱり!(定)
アメリって、盲信しやすいのかな?
こうなってくると、
《暁闇計画》が気になりますよねぇ。
この話を聞くと、みんな寝返るのですから……。
ガタンガタン…と機関車が揺れ、
夜霧の中をスピードを緩めず走っている。
車内では、三人の男女が対峙しあっていた。
モニカとの戦闘による手負いのクラウス。
弱者を愛し、強者を憎む飄々した白蜘蛛。
祖国に身を捧げた悲壮の『操り師』アメリ。
アメリは『白蜘蛛』の隣りに並び立った。
二人でクラウスを始末する気だ。
クラウスには分からなかった。
皇太子を射殺した本人が目の前にいるのに、
なぜ『蛇』がわに従こうとするのか。
彼に訊かれてもアメリの様子は変わらない。
すると————
白蜘蛛が反応した。
手に持っていた銃のトリガーを引いたのだ。
その弾はターゲットの側頭部を貫いた。
『操り師』のアメリは亡くなった……。
——ッ!?——(呆)
い、いきなりすぎる。
僕、逆だと思ってたんですよね、
寝返ったと見せてアメリが白蜘蛛を襲う——
てきな……。
————————
❷炯眼の正体【解】
アメリの執念による予想外の攻撃を受け、
白蜘蛛に敗する寸前だったクラウスの前に、
『灯』の仲間が登場するシーン。
夜の十時をまわった高速の機関車内では、
片足だけで鬼神のように戦うクラウスと、
彼にまったく歯が立たない白蜘蛛がいた。
『焔』『鳳』『ギード』『モニカ』、
彼らを巻き込んだ憎き仇敵——『白蜘蛛』。
『蒼蝉』『銀蝉』『紫蟻』、
彼らを返り討ちにした憎き仇敵——『燎火』。
怨恨・復讐・報復が互いに絡むこの争いに、
思わぬ横槍が入った。
ッパァ——ンッッ!!
銃弾が放たれ、クラウスの右腿を貫く。
ほんの僅かに生き返った『操り師』——
アメリの放った弾だった……。
なんという執念……。
形勢は一気に変わり、
立つことさえ儘ならないクラウスに、
スペアの弾を装填した白蜘蛛が笑う。
ついに世界最強の男を屠れる瞬間がきたのだ。
しかし——
クラウスはまだ勝機を失っていなかった。
第二の策も用意していたのだ。
コストとリスクの高い非効率てきな策が。
機関車の屋根からドスっと音がした。
クラウスだけがその音を拾っていた。
そして、車室から少女が現れた。
キャスケットを被った茶髪のサラだ。
機関車の屋根には包帯を全身に纏う女がいる。
拙者…、ござる…、など武士語を使う少女——
臙脂色の髪がピンと伸び、
はっきりとした目鼻立ちに、
中性的な顔立ちの『浮雲』ランである。
彼女の手には武器の入った鞄が握られていた。
そして、彼女はひとりごちたのだ。
今はあえてこう宣言するのがいいだろう。
コードネーム『炯眼』——
天に舞う時間でござる!
——なるほどね!(解)
フェンド連邦を訪う前から決めてた作戦って、
『浮雲』のランのことだったんですね。
あれ?
でも、そのころ——
ランって失踪中じゃなかったっけ?
それに、黒髪ティアは何やってるんだろう?
まだCIMに監禁されっぱなし?
監視されていたランが来れるなら、
ティアも一緒に来れたはずじゃ……。
————————
❸灯の鳳の謎【驚】
クラウスのピンチに駆けつけた茶髪サラが、
『鳳』の蘇りの謎を白蜘蛛に暴かれるシーン。
不穏な夜霧のなかを疾走する機関車内。
サラの撃った銃弾は白蜘蛛に通じなかった。
ナイフの側面で弾を弾かれ、呆然と動けず、
サラは白蜘蛛の重い打撃を逆にもらったのだ。
それでもサラは怯まなかった。
自分には『鳳』がついていると宣った。
彼らは生きていたのだ、と。
アネットの脱走を助けた『凱風』のクノー。
ミーネの嘘を見抜かせた『羽琴』のファルマ。
ジビアのピンチを助けた『翔破』のビックス。
機関車への進入を助けた『飛禽』のヴィンド。
それを聞いた白蜘蛛は、
憐れみの白い目を少女に向けて抗弁を垂れた。
「——動物の仕業だろ?」と。
アネットが脱走できたのは、
鷹に鉄片を病室にとどけさせたから。
ミーネの嘘を見破れたのは、
仔犬に嘘の匂いを嗅ぎ取らせていたから。
ジビアに好機を与えた天井の崩壊は、
ネズミにガス管や電線を噛み切らせていたから。
機関車に飛び移ることができたのは、
鳩を先に飛ばして目印にしていたから。
サラは唇を強く噛んでいた。
白蜘蛛の推理は、的を得ていたのであった……。
——えっ!? ほっとに?(驚)
あの、いかにも死者が助けに現れたような描写はなんだったの?
⑤切札【察・呆・蟠】
あらすじ——
『灯』の最後の切り札によって、
仇敵の『白蜘蛛』は自決した。
クラウスと少女達はゲルデの隠れ家を捜索し、
彼女の遺した遺産を発見する。
これで『灯』は任務を果たすことに成功したが、
全員無傷とはいかず、犠牲もだした。
『氷刃』——モニカの死亡。
そこで、ディン共和国に戻ってきた『灯』は、
穴埋めとして『灰燼』を新たに加えるのだった。
————————
❶炯眼の正体【察】
黒蟷螂の襲撃から逃れた『浮雲』のランが、
クラウスを助ける最後の切り札をみせるシーン。
鉄道沿いの木々が生い茂る地べたに、
命辛辛逃げのびたランが横たわっていた。
燎火を追う別の機関車から飛び降りていたのだ。
すでに乗り込んでいた『黒蟷螂』の襲撃を受け、
機関車に乗っていたCIMの連中は全滅。
彼の規格外な義手の攻撃は無敵を帯びていた。
『浮雲』のランが敵う相手ではない。
だらか、逃げた。
目的は『黒蟷螂』を倒すことではない。
『白蜘蛛』に襲われている仲間を救うこと。
ランは必死で手放さなかった鞄を開けた。
彼女は出てきた其奴に『炯眼』と呼んでいた。
『炯眼』は羽毛の翼を大きく広げ、
武器の入った鞄を鉤爪の脚で掴み、
疾走する機関車にむかって果敢に飛び立った。
人生を多く共有した——
相棒と呼べる少女のために。
——まさか……(察)
『炯眼』の本当の正体って、サラの鷹!?
『浮雲』のランは陽動だったの?
ダメだ……、
僕も完全に欺かれてます……。
————————
❷サラの志願【呆】
陽炎パレスの自室にいたクラウスの下に、
茶髪のサラがやってくるシーン。
ディン共和国の港町に構える『灯』の本拠地——
洋館の『陽炎パレス』に帰ってきた。
メンバー全員が。
コンコンとクラウスの自室がノックされ、
茶髪のサラが入ってきた。
帰還してまだ三時間も経っていない。
少女はゴクリと固唾を飲みこみ、
クラウスに畏まって告げていた。
スパイを引退したいと考えているっす。
——っ!?——(呆)
とりあえず、
今すぐということではなさそう。
区切りをつけたら引退し、
実家みたいにレストランを経営したいんだと。
できれば、他の仲間といっしょに。
なんか、最終巻あたりで描かれそうですよね。
『灯』のメンバー全員でレストランをやる姿が。
————————
❸神樹の墓守【蟠】
密航船で逃亡しようとする『黒蟷螂』の前に、
見覚えのない青年が現れるシーン。
フェンド連邦の首都南端にある港湾。
薄暗い視界の中に、緩やかな波音と、
海の塩っぽい匂いがただよう埠頭のところで、
長身大柄の男が佇んでいた。
規格外の力を発揮する二本の義手を備えた——
『蛇』の一味——『黒蟷螂』である。
近くの敵を爆発で蹴散らし、
数人がかりの銃弾すら風圧で跳ね返す——
兵器型の義手を片腕につけたまま、
彼は白蜘蛛と脱走した翠蝶を待っていたのだ。
結局、彼らは約束の時間に現れなかった。
黒蟷螂は同胞の死亡を悟り、復讐を誓った。
そのとき、誰か見知らぬ青年が現れた。
見知らぬ青年——
年齢?。
顔の堀りの浅い、丸メガネの男で、
パーマがかった黒髪がくしゃくしゃしている。
ベージュのトレンチコートを羽織っており、
両手はポケットに差し込まれている。
彼は特殊な鉛弾を『黒蟷螂』に放ったが、
相手の義手によって防がれた。
しかし、薬品のようなものが作用し、
その義手を使えなくさせた。
見知らぬ青年は、自らの所属を明かしていた。
『神樹の墓守』——
世界最高のスパイ『紅炉』が創設した——
《暁闇計画》を実現させる機関だ、と。
黒蟷螂は命を狙われていても泰然としていた。
自分を天下無敵と変わらず自負し、
天を仰ぎながら言っていた。
あぁ、引退が遠ざかる、と。
まだ己を屠れる存在に邂逅叶わないことを、
黒蟷螂は嘆いていた。
——気になる。(蟠)
この後の二人の決着も当然ながら、
《暁闇計画》って何やねんってなります。
あの見知らぬ青年は、
『灯』の味方側ってことになるのでしょうか?
竹町(著)
トマリ(イラスト)
KADOKAWA
あとがき
◆スパイチーム『灯』の詐術を紹介!
①エルナ『事故』×『自演』──惨禍創造。
②グレーテ『変装』×『邪恋』──仮面愛想。
③ティア『交渉』×『偶像』──愚神礼讃。
④モニカ『放火』×『敵役』──偽悪趣味。
⑤ジビア『窃盗』×『掏替』──虚実混交。
⑥サラ『調教』×『擬人』──鳥獣戯画。
※↓
①対『鳳』のヴィンドで登場。(五巻)
②対『ベリアス』のアメリで登場。(六巻)
③対『翠蝶』で登場。(七巻)
④対『防諜部隊』で登場。(七巻)
⑤対『甲冑師』のメレディスで登場。(八巻)
⑥対『白蜘蛛』で登場。(八巻)
リリィとアネットは、まだ不明。
しかし、今回、二人の連携が見れました!
灰桃髪アネットは約束を果たしていたのです。
紫蟻 の捜査でムザイア合衆国に潜入した時、
無事に帰国したら武器を作るという約束。
秘武器《失楽園》——。
1.5メートルほどのステッキの先端に、
クルクル回る風車が付いており、
そこから毒ガスを包む毒泡が出てくる——
リリィにしか扱えない専用武器。
この遊び心が良いですよねぇ。
オモチャにして売ったら、
小さいお子さんに喜ばれそう。
————————
◆リリィとモニカの今後の関係が……
いやぁ〜、どうなっちゃうんでしょう。
陽炎パレスに帰ってきた後、
リリィとモニカが、
中庭でボソボソと話し合っていたんですよぉ。
どうやら、例の告白の件です。
リリィに仕込んだ盗聴器で、
他のメンバーもダイニングで聞き耳してました。
だけど、サラがモニカ先輩を守ろうとして、
盗聴が流れていた無線を奪うというオチ。
結局、リリィの答えはわからずじまい。
あっさり振っちゃえば関係がギクシャク、
かといって、OKしちゃうのはちょっと……
って感じですね。
う〜、複雑だ。
『スパイ教室08 《草原》のサラ』
竹町(著)
トマリ(イラスト)
KADOKAWA
『スパイ教室08 《草原》のサラ』の用語集
体言(物の名前・指示)
詭計(人をだます計略)
食い扶持(食べ物を買うための費用、食費。「ーを稼ぐ」)
小間使い(主人の身の回りの雑用をする女性)
藁半紙(わらの繊維にミツマタやコウゾの繊維を混ぜてすいた半紙)
セレモニー(儀式。式典)
後生(人に哀願するときに使う言葉。「―だからやめてくれ」)
鏖殺(みなごろしにすること)
巨軀(大きな体。巨体)
下手人(自分で手を下して人を殺した者)
ファーストレディ(国家元首夫人や首相夫人の異称)
講和条約(戦争の終結と平和の回復を宣言し、講和の条件として領土の割譲や賠償金などを定める)
講和(交戦国間の合意で、戦争を終結し、平和を回復すること)
与太話(出まかせのつまらない話。でたらめの話)
朋友(ともだち。友人)
矜持(自分の能力を優れたものとして誇る気持ち。自負。プライド)
大恩(大きな恩。受けた深い恵み)
箍(桶の周りにはめる、竹や金属で作った輪)
必定(そうなるにきまっていること)
彼我(かれと、われ。相手と自分。あちらとこちら。「―の力量の差」 )
攻防一体(攻撃と防御の要素が1つにまとまっている武器や機能、戦い方のスタイルに対して使う言葉)
辞世(この世に別れを告げること。死に臨んで残す言葉・詩歌。「ーの句」)
雨ざらし(おおいをしないで、雨にぬれるままにほうっておくこと)
動詞(ウ段で終われる)
嗄れる(声がかすれて出なくなる)
刎ねる(刀で首を切り落とす)
慣用句(複数の単語で特定の意味)
苦虫を嚙み潰したよう(不愉快そうな顔つき)
箍が外れる(緊張が外れて感情が抑えられなくなることを意味する)
臍を嚙む(すでに及ばないことを悔やむ。 返らないことを後悔する)
形容動詞(~だった、~です)
僭越(自分の地位や立場を越えて出過ぎたことをすること。その様)
四字熟語
権謀術数(人をあざむくはかりごと・たくらみ)
ことわざ
脛に疵を持つ(昔犯した悪事などを隠している。自分の身にやましいところがある)
※:執筆者の独断と偏見が含まれます。
※:本ページの情報は2023年3月時点のものです。
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